あれはお遊びレースだからさ。ってみんなに言われて、それなら初めてのシクロクロスにはちょうどいいかなぁなんて軽い気持ちで出ることにしたのに、エントリーリストを見ると「C1」とか「全日本出場」とか、そんな勲章を首から下げてる人たちがいっぱい。

おい、話が違うぜ。

上位カテゴリが設定されない稲城クロスの中で、これが一番速いレースになるのでは……と正直ビビりましたが、「後方スタートだから、速い人たちとはすぐにバイバイすればいいじゃん」と、なんとか自分を納得させます。このとき練習もしたし、たぶん大丈夫。

僕が出場するのは、「自転車店店長もしくは会社・団体の代表者」であれば参加可能な、稲城クロスの「アミノバイタル® シクロクロス最速店長&社長選手権」。メディア枠も設けられており、参加者はBB Worksの中村浩一郎さん、バイシクルクラブの山口博久編集長、サイクルスポーツの中島丈博編集長、そして不肖安井の4名です。

スタートは15時半からと遅いので、昼過ぎに家を出て自走で会場へ。途中、若葉台の近くで、おそらく午前中のレースを走り終えて帰宅中であろう、泥の付いたシクロクロス車とすれ違いました。アイウエアの奥で目が合い、お互いに会釈。

出られたんですね。お疲れ様でした。
これから走られるんですね。お気をつけて。

そんな会話を心の中で交わしつつ、ゆるゆると会場へ。
数日前にコソ練したときは中盤のクネクネセクションがぬるぬるの泥で全くグリップしなかったのですが、今日はなんとかほぼドライになってくれたようで一安心です。

一安心したはいいものの、初シクロクロスなので何を準備すればいいのかよく分からない。とりあえずハンドルバッグとボトルケージを外し、空気圧を先達に言われるがままの1.8気圧に設定し、補給食にと買ったおにぎりを息子氏に横取りされ、スタート15分前になってゼッケンを付けていないことに気付いたりと、あたふたしながらスタートラインへ。レースって何年ぶりだろう……。

スチールフレーム、機械式変速に機械式ディスク、MTB用ホイール、古の10速の我が相棒、レモン・ポップラッド。タイヤはグロータックの木村さんにお勧めされたパナレーサーのCG CX TLRにしました。2015モデルのクロスマックスXLにCG CX TLRの組み合わせは、フロアポンプでビードが上がり、エア漏れもほぼなし。優秀。
その木村さんも社長枠で出走。バイクは謎の3段変速仕様。「いやー僕のバイク、10速なんで……」という言い訳が効力を失います。結果は社長枠の3位をゲット。さすが。

何人かを抜いたり何人かに追い抜かれたりと、スタート直後のあたふたを経て、僕はサイスポ中島編集長の後ろに。一時は追いつきナカジのリヤホイールを突っついたりもしたのですが、シケインと階段で心肺がやられてじりじりと離されてしまいます。後ろからは「弱虫ペダル」の原作者・渡辺 航先生と、レース解説でおなじみの栗村 修さんも来てるしで、もう必死。

シケインでナカジを追いかける安井。その後ろに渡辺先生、栗村さんが続きます。
ナカジを突っつき回す安井。と思いきや、この後徐々に離されてしまい……。
あぁ、だんだん背中が遠くなる……。

稲城クロスの見所の一つはガヤだと聞いておりました。実際、たくさんの応援をしていただき非常に嬉しかったんですが、返すことは不可能でした。6歳の息子氏が「パパー、本気出してー」などと叫んでいるのも聞こえたのですが、返答を作文して発声する余裕が全くありません。もうとっくに出してるんです。本気。

レース中に印象的だったのが、バイクラ山口編集長の激しい息遣い。どんだけ追い込んでるんだよとツッコミたくなるほどの「ハァッ! ハァッ!」という呼吸がヘアピンですれ違う度に聞こえていました。後で聞くと3回ほど転倒されたのだとか。普通、1回コケたら慎重になるものです。でも山口さんは攻めに攻めて追い込んでた。さすが元C1ライダー。やっぱり根っからのレーサーなんですね。その代償が、コケたときに割れたi-Phoneだったと。

店長枠・社長枠との混走で26人も参加していたにもかかわらず、バイクラ山口、サイスポ中島、La route安井のメディア枠1~3位を争う3人が三つ巴になるという、作ったような展開になり、山口さんの転倒の隙を突いたナカジが一時メディア枠トップに立つものの、結局は山口さんから3秒差で中島、さらに3秒差で安井という順位でゴール。山口さんはもちろん、ナカジも速かった。

というわけで、結果はメディア枠の3位。「コケず、他の選手の迷惑にならず、ラップされず、完走する」という目標はなんとか達成。ナカジについていけただけでもよしとします。

あとから思ったんですが、中盤のクネクネゾーンと終盤のシケインでの遅れを取り戻そうと、階段を2段飛ばしで駆け上がってたのがいけなかった。そのときの心肺ダメージがスロープ~ホームストレート~コース前半に響いてしまいました。階段は小走り程度に押さえたほうが、結果的に速く楽だったかもしれません。でも階段は観客がたくさんいるから頑張りたくなるんだよな。

いやーそれにしても辛かった。ゴール後には呼吸困難になりました。

前回大会は表彰が最速店長のみでしたが、今回はさらに社長枠とメディア枠にも用意されることに。というわけで、4人中の3位でも表彰台に上ることができました。息子氏もちゃっかりフレームイン。
師匠(?)であり、稲城クロスの主催者でもある棈木さんに完走の報告。棈木さんもチャンピオンシステムジャパンの社長として同レースに出走されており、「稲城クロスを開催し始めて4年だけど、フルでレースをしたのは初めてで楽しかった。山口編集長と中島編集長が追い付いてきたところで、負けたくない気持ちに火が付いて真剣に追い込んでしまいました」と、しっかり山口編集長の前でゴール。

ゴール直後、ずっと応援してくれていた息子が、腕の中に飛び込んできました。
頑張ってよかった。来年も出よう。

(安井)