大学時代、メッセンジャーになるために麻布十番にあった某メッセンジャー会社の面接に行ったら、目の前に座ったのが社長の棈木あべき亮二さんでした。確か2002年。その日から約4年間、社長と雇用者という関係になるわけですが、雇用関係という堅苦しい感じはさほどなく、日々の配送業務をこなしながら、一緒に色んな山に練習に行ったり、ヒルクライムレースに出たりすることになります。

僕の初めての海外取材はラスベガスのインターバイクショーでした。2007年だったでしょうか。そのとき僕はメッセンジャーを辞めて某自転車ウェブメディアの使いっ走りをしてたんですが、「来週いきなりインターバイクに行くことになったんですよ」と棈木さんに報告したら、「俺も行く」とか言い出して、なぜか現地で合流して、死ぬほど広い会場を歩き回ったその夜、なぜか地元民しか行かないようなメキシコ料理屋に2人で入り、なぜかラスベガスの夜景を見ながら2人でマルガリータを飲み、なぜかその後カジノに行ったりしました。

そのときのインターバイクで棈木さんはオーダージャージメーカーであるチャンピオンシステムと出会って、チャンピオンシステムジャパンを立ち上げることになります。僕は色んな媒体で仕事をさせてもらうことになり、メーカーとメディアという関係に変わりました。そこでも色々と棈木さんにお世話になり、その関係は今でも続いています。

左が棈木さん。愛車はジャイアントのTCX。それに比べると安井のバイクの時代錯誤感がすごい。

そんなこんなで出会ってはや20年の今年。またまた棈木さんに連絡。
矢野口にクロスコーヒーをオープンさせ、シクロクロス東京稲城クロスの主催者にもなり、と日本の自転車シーンを牽引する一人になったかつての上司に、「シクロクロス教えてー」というカジュアルなお願いをするためです。

今年の2月に観戦に行った稲城クロスで、100人くらいから「安井さん出ないんですか?」と聞かれ、言い訳するのが面倒になったので(笑)、出ることにしたんです。稲城クロスの「シクロクロス最速店長&社長選手権」。店長もしくは社長じゃなくても、団体のトップや編集長であれば出れるそうです。

しかしシクロクロスはやったことないし、CXコースなんか1mmも走ったことない。
昨年のCX最速店長&社長選手権のハイレベルな熱い戦いを目の前で見ているだけに、さすがにそんなナメきった状態で参戦するのは……と思い、本番まで2週間を切った今になって急に焦り、誰かに教えてもらおうと。頭に浮かんだのが再びの棈木さん。だって稲城クロスの主催者だし。というわけで、かつての雇用主を稲城クロスの会場に呼びつけさせていただきました。

超初心者用のレッスンとして、空気圧のセッティングから、基本の8の字、荷重移動、コーナリング、バイクの乗り降りとシケインの越え方などなど、みっちりと2時間半。
最近はグラベルを楽しんでいるとはいえ、僕のメインフィールドはオンロード。オフロードは慣れておらず、特にコーナリングはどう走ればいいのかよく分からない。ロード乗りは滑ることに慣れてないですからね。直前まで降っていた雨でコースにぬかるんでいる箇所があり、一周目でいきなりズベシャーと落車をするなどCXの洗礼を受けましたが、徐々に楽しくなってきました。

しかしシケイン&階段での体力の消耗っぷりって半端ないですね。
稲城クロスのコースは、ホームストレート手前にシケインがあるので、バイクから飛び降り(走りながら右脚で左側に降りるというシクロクロス降りをしたのはこの日が人生初でした……)、ハードル走の要領でシケインを2つ超え(しかも僕の場合は重い重いスチールフレームを抱えながら。測ったら10.5kgありました……)、サドルに股間を打ち付けながら飛び乗り(飛び乗り難しい……)、階段の手前で再び飛び降り、またまた重量級バイクを抱えて階段を駆け上がり、という一連の課題をクリアするだけでもう心臓ゼイゼイの筋肉ボロボロになります。シクロクロッサー達はいつもこんなことやってんですか。変態どもめ(誉め言葉)。

稲城クロス第2戦、開催は12月4日(日)です。
各カテゴリのエントリーは11月24日(木)まで。

もちろん観戦だけなら無料。最速店長&社長選手権は15時半からだそうですよ。
「遅えぞ」、「CXナメんな」、「締め切り守れー」などの温かい罵詈雑言、お待ちしております。

(安井)