エートスの存在意義
ターマックに続き、エートスも全3回で評論(前編、後編、番外編)をお届けしました。なぜスペシャライズドだけ記事を3回に分けたのかというと、メーカーに気を遣っているわけではなく(それは原稿を読んでいただければ分かると思います)、それだけ語るに値するモデルだと判断したからです。そんな2台がたまたま同じメーカーから出たというだけ。
ターマック評では小笠原さんを、エートス評では吉本さんをゲスト評者にお呼びしたのももちろん理由があります。ターマックはプロレベルの負荷域での性能を評価しなければいけないと考えたため。エートスはその売り方において吉本さんの意見をお聞きしたいと思ったため。お二人のおかげで、ターマックとエートスの番外編は読み応えのあるものになったと自負しています。特にエートス番外編の「吉本節炸裂」は必読ですよ。
それにしてもスペシャライズドは、ここ数年でさらに大きな影響力を持つメーカーになりましたね。完成度が高いモデルはたくさんありますが、それ以降のロードバイクシーンに影響を与えるモデルは少ないんです。
例えば今、世には第二のヴェンジが溢れています。なんだ結局みんなヴェンジが作りたかったんじゃん。そう思わせる最新エアロロードばかりです。数年後には、第二のターマックSL7が乱立するのでしょう。
エートスの影響力は、それら2車よりさらに大きいと思います。
そのコンセプト、その設計、その重量、その売り方、その走り、そのグラフィック。
今、ライバルメーカーは必死になってエートスを切り刻んでいるはずです。ぜひ二枚におろして、輪切りにして、積層解析にでもかけて、大いに研究して学んでいただきたいと思います。
数年後、エートスの二番煎じが出てきたとき、それらの完成度が「アマチュアが乗るロードバイクの姿」を決めるからです。そういう意味で、エートスはただの超軽量バイクではないんです。
(安井行生)
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