ここ1~2年精力的な動きを見せている印象のホダカ。先日公開したインタビュー(前編後編)も各方面からたくさんの反響をいただきました。そんなホダカのスポーツバイク展示会が、埼玉県越谷市の本社で行われるということで、行ってきました。コロナ禍でも年1回のペースを崩さずにリアル展示会を開催してきたそうですが、La routeがじっくりお邪魔するのは今回が初めてです。

会場となる本社2階の展示フロアに上がると、入口で待っていたのはジーンウインド。リサイクルアルミをフレーム素材に使用したバイクで、昨年秋に試作モデルがお披露目されています。

材料開発を担う株式会社日立ハイテク、製造を担当する株式会社エイチワンとの共同プロジェクトで、ベース車両を提供した「スマチャリ」同様、自転車業界以外の企業とも積極的に連携してものづくりに取り組む、ホダカの現在と未来を象徴する一台です。

ジーンウインドは現在量産化に向けて動いており、担当者曰く「試作車で終わることは絶対にありません」とのこと。ちなみにこの日に展示されていたのは、昨年の発表時とは異なる最新の試作車で、スルーアクスルを採用するなど細部に改良が加えられていました。

こちらはコーダーブルームのロードバイク展示コーナー。
エンデュランスロードのファーナは、ここに来て値下げを発表(すでに9月16日から新価格が適用されています)。たとえば写真のファーナ ディスク 105は、現在の27万3,900円から、24万9,700円になり、ファーナの他モデルも概ね5~10%ほど値下げされます。

もちろんその背景には在庫問題なども関わっているのでしょうが、フラッグシップのストラウス プロ レース2はきっちりと強気の価格設定で品質勝負しつつ、エントリー向けのロードバイクはより手が届きやすいように、という判断は、販売店やユーザーを大切にするホダカらしいと感じました。

そのストラウス プロ レース2ももちろん展示会場のど真ん中に鎮座。発売からの反響も大きかったそうで、熱心なコーダーブルームファンの中には、試乗もせずに店頭で「ください!」と買いに来たお客さんもいたとか(もちろんそのあとに試乗したのでしょうが)。ちなみに一番大きい520サイズ(適正身長目安:170~180cm)が真っ先に完売となったそうで、日本人の体型に合わせた4サイズ展開だったはずですが、メーカーとしても少し予想外だったようです。

さて今回の展示会の目玉は、先のプロ レース2を筆頭とするストラウスシリーズから、ニューカラーとコラボモデルが追加されたこと。

まずはこちら。
アルミフレームのストラウス レース2に、都会のネオンをイメージしたというピンクとブラックを基調にしたモデルが登場。コーダーブルームのロードバイクはやや地味なカラースキームが多かっただけに、これはインパクト十分。

ただポイントは色だけにとどまらず。これ、実はUCIも取得しています。これでコーダーブルームは、カーボン(ストラウス プロ レース2)とアルミそれぞれにUCI認証を受けたフレームが揃ったことになります。ちなみにこのフレームは、今後世界を目指す若いレーサーに手に取ってほしいという想いがあるそう。「学生でも手が届く価格なので、ガシガシ走り倒してほしい」とのことで、お値段ずばり、フレームセットで9万9,000円。発売は来春予定です。

そして気になるもう一台が、ストラウス ディスク トーキョー。メッセンジャー会社のT-servと共同開発したバイクです。意外なコラボに見えるかもしれませんが、このバイクを企画したホダカの担当者は、実は元メッセンジャー(T-servで4年間走っていたそう)。一方T-servでは近年、ストラウス ディスク フラット10というフラットバーモデルをはじめ、メッセンジャーたちのコーダーブルーム使用率が高まっているそうで、ある種、相思相愛的な関係から生まれたバイクとなっています。

フレームは既存のストラウス ディスクですが、変速をフロントシングル化して、配送中のチェーン落ちといったトラブル防止や、日々のメンテナンス性の向上を狙ったモディファイがなされています。またトップチューブには、T-servとコーダーブルーム双方のデザイナーのコラボレーションによる、東京の街をイメージしたグラフィックが施され、いい意味でコーダーブルームらしくない一台に仕上がっていました。価格は完成車で21万8,900円。こちらも来春発売予定です。

ホダカが2019年に立ち上げたパーツブランド「P&Pコンポーネンツ」からは、この11月にTPUチューブが発売されます。

耐熱性や耐久性といった不安が完璧に拭えたわけではありませんが、ブチルに比べるとその軽さは魅力的。自分の周りでもTPUを積極的に使い始める人が増えています。

で、こちらの商品の特徴は、耐久性や安全マージンを強く意識して作られている点。たしかに30g台のTPUチューブがざらにある中で、これは44g。その分やや厚めの素材を使用していたり、バルブの付け根の作りにもかなり気を遣っているそう。とはいえというか、その分というか、2,640円という販売価格は、グロータックが取り扱うマージーンのエクサー TPUチューブが1,650円で買えることを考えると少々割高。注目が高まっているTPUチューブ市場でこれがどう受け止められるのか、気になるところです。

といった感じで、ホダカのスポーツバイク展示会を見てきたわけですが、個人的に強く印象に残ったのは、展示されていたモノよりもヒト。

僕が直接お話しした社員さんはもちろん、受付対応の社員さんや、他の来場者を案内していた社員さん、みんな表情が前向きで、接していても気持ちいい。自分たちが作っているモノ、そしてこれから目指していくビジョンに、自信があることの表れなのかも。そんなことを感じながら、僕も少し元気をもらって東京へと帰ったのでした。

(高山)