以前こちらのDAYSで取り上げた後付け電動アシストシステム「SmaChari(スマチャリ)」。その製品版である「レイルアクティブ-e」の試乗会に行ってきました。

バイクやアシストシステムについての詳細は先のDAYSに譲りますが、そのときに一点残念だったのが、正式な型式認定が間に合わず公道で試乗ができなかったこと。一応、ローラー台の上で“試乗”してみたものの、レイルアクティブ-e、ひいてはスマチャリの本領を知ることはできず。そして、現場にいらっしゃったPR会社とワイズロードのご担当者に「乗れるようになったらぜひ呼んでください」とお願いして帰ってきたのでした。

そんなこんなでこのたびお呼びがかかり、ついに叶った公道試乗。実は申し込みの段階で(DAYSでも書いてますが)、電動アシストが付いてない素のレイルアクティブとも乗り比べてみたいとお伝えしてみたのですが、残念ながらそちらは実現せず。一方で、そんなお願いはしてみたものの、ちょっと申し訳ない気持ちにもなったのでした。というのも…。

そもそもなぜ、僕がレイルアクティブとレイルアクティブ-eを乗り比べたいと思ったのか。それは、電動アシストシステムを後付けした後も、スポーツバイク(クロスバイク)本来の乗り味が残っているか、電動アシストのママチャリとは違う軽快さを保っているか、そんなところを確認したかったからでした。

ですが、先に乗ったうえでの結論を申し上げますと、この比較自体がナンセンスでした。

というわけで試乗会の様子に戻りましょう。
会場となったのは、「新豊洲 Brilliaランニングスタジアム」。まずは施設内で、スマチャリの簡単なプレゼンテーションと試乗コースの説明などがありました。ここでの新情報としましては、7月21日(金)からレイルアクティブ-eの予約受付が全国のワイズロードでスタートするそう。同時に全店舗で試乗が可能になるとのことなので、「ちょっと気になってる」という方はぜひ足を運んでみるのをおすすめします。

こちらが「新豊洲 Brilliaランニングスタジアム」。全天候型の60m陸上トラックを中心とするスポーツ施設です。
内部はこんな感じ。奥に実車と記者席が並んでいます。当日雨天だった場合は、このトラックを試乗コースとする予定だったみたいです。

そしていよいよ試乗タイム。用意されていたのは440mmと400mmの2サイズ。「自分には小さいかな」と思ったのですが、レイルアクティブのカタログによれば440mmは身長180cmまで対応ということで、無事に乗車。

走り出す前に、操作関係を確認します。通常のeバイクのアシストモードの切り替えは、グリップから親指が届く範囲に搭載されたスイッチで行うのが一般的ですが、これはアシストシステムが後付けなので、専用アプリをインストールしたスマートフォンでの操作になります。なので、スマホホルダーの取り付け位置で多少は調整できるものの、走りながら親指でモード切替を行うのは無理。そもそもアプリのデフォルト設定では、走行中も一定の速度以上ではモード切り替えができないようになっています。

試乗車のハンドルとスマートフォンの位置関係。走りながらパワーやレスポンスを調整するのは難しいです。

そこで頼りになる、というか、むしろスマチャリの本領発揮といえるのが「AIモード」。走りはじめは強めにアシストが効き、ある程度速度が安定するとアシストが弱まり、上り坂に差し掛かるとアシストが強くなり……というふうに、乗り手の特性や走行状態に合わせて最適なパワーとレスポンスを制御してくれる、いわばお任せモードです。

そして、このAIモードのデキがすこぶる良いのです。試乗コースは、晴海運河を横断する晴海大橋(長さ580m)にある自転車走行レーンの往復。晴海大橋は山なりの構造なので、走り出しがいきなり上り坂で、少しずつ傾斜がゆるやかになり、中間地点から先は徐々に下っていく。そんな中、何も考えずただ自転車に身を任せる感覚で、あっという間に1往復してしまいました。

橋の中腹にいらっしゃった試乗会のスタッフに撮ってもらいました。「こんな感じで大丈夫ですか?」と不安そうに何度も聞かれたんですが、おそらく僕の表情がぎこちなさ過ぎたからだと思います。表情と裏腹に、乗り味は本当に快適でしたよ。

スマチャリのアシストモードは4段階。しかしAIによる制御の瞬間に変速ショックのようなものを感じたり、ペダルを回している足に微妙な反発が来たりといったことがない。4段階のはずなのに、乗っている感覚としてはほとんどシームレスでした。

ロードバイク慣れしているとつい自分で変速やアシストモードの切り替えをしたくなりますが、スマチャリのAIモードだとその必要がないし、そんな欲すら出てこない。クルマもそうじゃないですか。どこかでマニュアル車への憧れはあるけど、結局オートマ車に乗ると「楽だわ~、これでいいわ~」となる感じ。そんなオートマ車のように快適でスムーズなアシストを司るAIシステムに、まさしくクルマ(二輪)メーカーのホンダの技術が注ぎ込まれているというわけです。

そう考えると、ベースがレイルアクティブだからといって、これをスポーツバイクの延長と捉えるのは違う気がしてきました。カタチこそクロスバイクですが、どちらかといえば優秀なシティコミューターなのかなと。自分の脚が動力源ではありますが、ひたすら快適かつスムーズにA地点からB地点へと運んでくれる乗り物。それがスマチャリなのだと思いました。

こうして自転車の可能性、乗り物の可能性が広がっていくのは楽しいですね。それをいち早く体験できて大満足の試乗会でした。

(高山)

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