新型デュラエースに関する2本の記事を公開しました(技術編試乗編)。

試乗編では、落胆した点、気になった点をいくつか指摘しています。
しかし、コンポーネントに求められる性能 ――変速性能、制動性能、動作の安定性、人間工学、フィット感、安全性、信頼性、整備性、互換性、ユーザビリティ、コストなど―― の中で、その「落胆した点、気になった点」とは、ちょっとした味付けの変更やソフトのアップデートですぐに改善できる類のものです。

一方、シマノの強みである変速性能、安定性、信頼性などは、メーカーとしての基礎体力が問われる要素。それらは“ちょっとした変更”などでどうにかなるようなものではなく、設計・製造技術はもちろん、長年の技術の蓄積やノウハウ、優れた人材・製造設備などが必要で、一朝一夕では達成できない種のもの。

そういう意味で、やはりシマノは偉大なメーカーなのだと思います。
機械式変速がなくなってしまったこと、そしてリムブレーキモデルは有線のまま放置されていることは残念でなりませんが、メーカーはボランティアでもの作りをしているわけではないので、しょうがないんでしょうね。今持ってる7800、9000、R9100を大事に使おうと思います。

さて、記事では触れていないことがあります。新型アルテグラとホイールです。
デュラが高くなってしまったことと、新型アルテが同時に発表されたことと、基本構造はほぼ同一とされたことで、新型アルテグラに対する注目度はシマノ史上最高かもしれません。デュラを搭載するとかなり高額になってしまうため、バイクメーカーも戦略的なアルテ完成車を用意してくるでしょうし(アンカー・RP9のアルテ完成車66万円とか)。機会があれば、デュラとの比較をしてお伝えしたいと思っています。

コンポと同時にデビューしたホイールですが、「新型デュラ分析」という焦点がぶれてしまうため、今回の記事ではあえて触れませんでした。
しかし、WH-R9270-C50-TLを使わせてもらった印象は「すっさまじくよく走る」というものでした。デュラホイールには12速スプロケしか入らないため、自分のバイクでは試せてはいないんですが、税込み約25万円という価格も含め「ホイールもかなり本気」という印象。最近、元気がなくなっていたシマノのカーボンホイール、ここにきてシェアを奪い返しにきたのかもしれません。

デュラと同じリムを使うというアルテホイールという存在も面白そうです。ハブとスポークは違うようですが、カーボンリムながら16万弱。デュラと違って11速スプロケが入るようだし。デュラホイール3種類(C60、C50、C36)と、アルテホイール3種類(C60、C50、C36)の比較もやってみたいですね。

(安井行生)