先日発表されたばかりのピナレロのドグマF。先日、展示会で実車を見てきた話はこちらに書きましたが、「よかったら一緒にテストしてみてください」と担当の方に言っていただき、前モデルとなるドグマF12と最新のドグマFの2台を一緒にお借りして試乗することができました。

 

 

Fのテーマは「The Art of Balance」。この言葉が開発前から掲げられたものなのか、それとも開発後なのかはわかりませんが、どこかひとつに特化するのではなく、現在考えうるであろうロードバイクにおけるすべての要素をバランスさせた1台ということなのでしょう。

お値段はF12が80万3000円、Fが93万5000円。フレームセットでこの価格なので、実際に完成車にするとなると1台あたりかる~く100万を超えてしまいます。さすがにこのフレームで105やティアグラで組む人はほとんどいないでしょうから、新品パーツで組むなら200万以上の予算が必要かもしれませんね。

 

 

 

それにしても、ドグマに限らず昨今のトップグレードのロードレーサーの価格設定は、僕が紙媒体の編集をやっていた15年前とは隔世の感があります。メーカーのフラッグシップ(看板)であり技術の粋を集めたモデルであること、その技術をフィードバックしたお手頃価格のセカンドやサードグレードがあることはもちろん承知ですが、僕のような貧脚ホビー丘サイクリストには、これまで以上にトップグレードのバイクが無縁の世界になりつつあります。ま、トップグレードなんてこれまで一度も買ったことないんですけどね。

ただ、不思議にも思うわけです。現在の自転車産業の中心は皆さんもご存じのとおり台湾と中国。その背景には人件費の安さや大量生産技術の確立によるコストダウンがあるはず。つまり、フレームを自国でつくるより、台湾や中国で作ったほうが安い。

以前より安くつくれているはずのに、以前より販売価格はかなり高くなっている。それまでが安すぎたのか、それとも今が高すぎるのか。いや、高いことが悪いとかダメなんて言うつもりはないんですが、「なるほど! だからこの価格なのか」という納得感が欲しい…と思うのは僕だけでしょうか。

(栗山)