「野嵜然新ぜんしん、弱虫ペダルサイクリングチームに加入決定」

2月11日、12日と2日間にわたって開催された「Champion System × 弱虫ペダル シクロクロス東京」。イベントの最後に行われた弱虫ペダルのチームプレゼンテーションで、うれしい発表がありました。そう、昨年取材させていただいた織田 聖選手野嵜然新選手が、シクロクロスでチームメイトとなるのです。

その発表の数時間前のこと。会場を歩いていると然新選手のお父さんから「高山さん、今日は最後まで会場にいてくださいね」と声をかけられました。そういえば昨日も、然新選手本人から「明日も来ますか?」って聞かれたなぁ。理由はこれだったんだ。

この発表を聞いた瞬間、驚きとともにうれしさと感動の波が押し寄せてきました。なぜ感動したか。それは、あらゆる点がつながり、あらゆる伏線が見事に回収されたことにあります。

織田選手と然新選手をフィーチャーして先日の全日本選手権の模様をDAYSで振り返ったばかりですが、たまたま私たちが取材したシクロクロッサーだということで、個人的にも思い入れの強いふたりが、こんなかたちでつながることになるなんて。「仕込みだったんじゃないか」と読者に疑われても不思議じゃないほどですよね。

ちなみに、お父さんに呼び止められるさらに数十分前。シクロクロス世界選手権に出場した織田 聖選手、小川咲絵選手、石田 唯選手、大蔵こころ選手の凱旋トークショーがあったんです。そのラストで、「日本のシクロクロス界に言いたいこと」というテーマで話を振られた織田選手が答えたのが以下のコメントでした。

「今回の日本代表は、残念ながらジュニアの派遣がありませんでした。でも来年以降は、ジュニアも世界の舞台に連れて行ってほしい。日本にまだ足りないのはディベロップメント(若手の育成)だと思うんですよね」

男子U23の副島達海選手、柚木伸元選手、女子U23の石田 唯選手、女子エリートの小川咲絵選手が完走を果たし、確実に日本選手の実力がアップしていることがわかった反面、世界との間にはまだまだ越えられない大きな壁があることもわかった今回の世界選手権。

その打開策のひとつとして、織田選手が提言した「育成」への注力。それを織田選手が所属する弱虫ペダルサイクリングチームが、わかりやすくカタチにしてみせようとしているわけです(同チームにとって、中学生を加入させるのは初の試みとのこと)。織田選手の発言も、この件をふまえてのものだったようにも思えます。

あと「華のある、魅せるレース」でファンを魅了するという意味で、織田選手と然新選手は似ているような。そんなふたりの「師弟関係」に来シーズンは注目です。

最後に、然新選手のプチインタビューをお届けします。

「いやぁ、不思議な縁ですよね。まさかあの織田選手のチームメイトになれるなんて(笑)。これを世界で活躍するための良い通過点にしたいですね。聖さんはいずれ、僕が絶対に倒さないといけない相手。チームメイトとしてたくさんのことを吸収しながら、観る人の心を動かせる選手になれるようにがんばります。勝つけどつまらない選手にはなりたくないですからね。みなさん、これからも応援よろしくお願いします!」

(高山)