思い返せばこのときでした。パナレーサーが何かの匂わせをしていたのは。

サイクルモードの会場で配布されていたリーフレットに書かれていたのは「Q.本物の速さとは?」という謎めいた文言。その後、6月に開催されたユーロバイクでティザーサイトとともに発表され、本日ようやく詳細情報が解禁となります。

その名はアジリスト ファスト。

リリースによれば、2022年に発表されたパナレーサーのロードバイクタイヤのラインナップであるアジリストシリーズのプレミアム・フラッグシップとなるそうです。発売は8月1日を予定しているとのこと。

アジリストの名が冠されていますが、コンパウンドは完全刷新。ネーミングからして「TTタイヤ?」と思っていましたが、どうもそうではないようで、パッケージに添付されたステッカーには「転がり抵抗値、Panaracer史上最少」の文字が。

こちらがタイヤの透視図。耐パンクベルト「AGILE-F BELT」、ケーシング「AGILE-F CASING」、コンパウンド「ZSG AGILE-F COMPOUND」と素材のすべてを一新。さらに素材にエレクトロンビーム(電子線)照射を行うことで、耐熱性や強度を向上させているとのこと。

エレクトロンビーム…特戦隊ものにでてくるような言葉なので調べてみたところ、こんなサイトが。エレクトロンビームを取り扱うNHVコーポレーションのサイトによれば、すでにクルマの世界では実用化されている技術のようです。気になりますね。

そうしたもろもろの結果、転がり抵抗はアジリストより20%低減しているとのこと。コンパウンドがすべて異なるのなら別のネーミングでもよかった気がしますが、とにかくアジリストシリーズの頂点という位置づけのようです。

表面はパターンなしのスリック。ラインナップは25C、28Cの2種類でどちらもクリンチャーのみ。公称重量は25Cが230g、28Cが250g、価格はどちらも9,900円。

テスト用として送っていただいたタイヤ(25C)の実測重量は222.3gと222.8gでした。

無印の「アジリスト」、軽さを追い求めた「アジリスト ライト」、耐パンク性を高めた「アジリスト デューロ」、そして今回登場したプレミアム・フラッグシップをうたう「アジリスト ファスト」によってアジリストシリーズは4兄弟になりました。改めてスペックを比較してみると、アジリスト ファストに突出した軽さがあるわけでもなく、値段もアジリストシリーズ(クリンチャーのみ)の中では最高値です。

タイヤのパッケージはパッケージ前面にタイヤ表面が見える「窓」が設けられていますが、アジリスト ファストのみ側面に。前面の3本ラインは光と角度によって色が変わる「ブラックレインボー」を採用するなど凝ったつくりです。

ここまでリリースをもとに色々と書きましたが、やはり気になるのは、スペック云々よりも使ってみて、どうか。スペックにはない何か、があるか。

現在、安井が絶賛テスト中なので、近々インプレッションをお届けする予定です。お楽しみに。

(栗山)