レースシリーズの変遷

パナレーサー。それは走り屋が全幅の信頼を寄せるレーシングタイヤの作り手だった。

パナレーサーのロード用タイヤが、それまでのバリアントというモデル名からレースシリーズになったのは2010年。万能のレースA、軽量モデルのレースL、耐久性重視のレースDという目的別の3モデルが用意され、トレッド中心を尖らせるオールコンタクトトレッドシェイプ、天候を問わず高いグリップを発揮するZSG(ゼロ・スリップ・グリップ)コンパウンドなどが特徴とされた。
AとDは23Cと25C、Lは軽さを重視して20Cと23Cというサイズラインナップ。2012年にはAにチューブラーが加わる。

この初代レースシリーズは、ナロー時代のレーシングタイヤとして高い完成度を持つタイヤだった。
前作バリアントと比較すると、ハイグリップタイヤに特有の“ベタつき感”が減った。あるプロ選手は「タイヤには転がり抵抗よりもグリップを求める。転がり抵抗が大きくてもライダーが頑張ればいいだけだが、グリップは頑張ってもどうにもならない」と言っていたが、最高レベルのグリップはそのままに、無駄に頑張らなくてもすむタイヤに進化していたのだ。

recommend post


column

メカニック小畑 の言いたい放題(Vol.3) 今、最も優れているタイヤシステムは?

なるしまフレンドのメカニック小畑 郁が、編集長の安井とともに自転車業界のアレコレを本音で語る連載対談企画。定番のクリンチャー、人気のチューブレス/チューブレスレディ、話題のフックレス、そして古のチューブラー。どのホイール/タイヤシステムが優れているのか。フックレスは普及するのか。第3回目は、性能、脱着性、汎用性、ユーザビリティを含め、様々な角度からホイール/タイヤシステムを考える。

2021.03.08

column

チューボリートと太幅タイヤのマリアージュ

La routeアドバイザーの吉本と打ち合わせをしていたとき。カフェの窓から街路樹に括り付けられた彼のトップストーンを見ると、リムからオレンジのバルブが覗いていた。「チューボリート使ってるんですか」「乗り味はちょっとパリパリしますが、太いタイヤと組み合わせるといいんですよ……」。そんな雑談から生まれた今記事。なぜチューボリートは太いタイヤとの相性がいいのか。タイヤの専門家の話も交えつつ、吉本がチューボリート×太幅タイヤについて語る。

2020.11.30

technology

BBでフレームの剛性感は変わるのか

近年主流になっているプレスフィットBB。フレームとクランクの間でじっと負荷に耐えている存在。その素材や構造の違いがペダリングフィールに影響を与えているのではないか。4タイプのBBを集めて考察を行った。

2020.04.24

impression

CORIMA・MCC WS+ DX試乗記 ディスクロード用高性能ホイールの行方

ホイールメーカー各社がロードホイールのディスクブレーキ化に四苦八苦している。特に、スポークパターンに制限があるコンプレッション構造ホイールが難しい。しかし、コリマはトップモデルであるMCCシリーズをディスク化してみせた。それはどんな方法で、どんな作りで、どんな走りになっているのか。コリマ・MCC WS+ DX 47mmチューブラーを題材に、ディスク時代の超高性能一体型ホイールのあり方を考える。

2020.09.28

impression

MAVIC COSMIC SLR45/SL45試乗記 時代の終わりか、それともはじまりか

経営母体の交代。R-SYS、ジクラルスポーク、エグザリットリムの消滅を伴うラインナップ一新。ツール・ド・フランスニュートラルサービスからの撤退――。いちユーザーからすれば混迷を極めていると思えなくもないマヴィックだが、果たして注目の新作、コスミックSLR45とSL45の実力やいかに。同モデルを編集長の安井が試乗した。

2021.02.08

column

セッティング探求のすゝめ

タイヤやホイールはもちろん、ステムやクランク一つ変えるだけでも自転車の印象は変化する。自転車はそれら複数のパーツの集合体であるがゆえ、セッティングの世界は奥深く、しかも正解がない底なし沼のようなもの。STAY HOMEな今だからこそ、その沼にはまってみてはいかがだろう。がっつり走りに行かなくても、近所を一回りするだけで「セッティングの探求」はできる。参考までに、編集長の安井が普段どのようにセッティングを煮詰めているかをお届けしようと思う。

2020.05.08

column

メカニック小畑 の言いたい放題(Vol.1) ロードバイクにディスクブレーキは必要か?

なるしまフレンドの名メカニックにして、国内最高峰のJプロツアーに参戦する小畑 郁さん。なるしまフレンドの店頭で、レース集団の中で、日本のスポーツバイクシーンを見続けてきた小畑さんは、今どんなことを考えているのか。小畑×安井の対談でお届けする連載企画「メカニック小畑の言いたい放題」。第1回のテーマはディスクロード。リムブレーキとの性能差、構造上の問題点などを、メカニック目線&選手目線で包み隠さずお伝えする。

2020.11.23