突然ですが、東京都稲城市の多摩川河川敷で開催されるシクロクロスレース「稲城クロス」のスクールに参加してきました。

今年の稲城クロスそのものはコロナの影響で中止になってしまいましたが、11月上旬に主催者の棈木あべき亮二さんのSNSでスクール(男性、女性、キッズ)が2日間にわたってあることを知りました。

ムスメたちは移動のアシとして自転車に乗っているだけなので、シクロクロスが何なのかさえまったく理解していませんが、「いろんなことをやってみる」がモットーな我が家は、近いし面白そうだしということで即申し込み。あ、参加するのは僕ではなくムスメ(長女10歳、次女7歳)ですが。

この日のため(?)に長女のクロスバイクにはグラベルキングSSの28Cをインストール。次女はいつものヨツバサイクルで参加です。

グラベルキングSSの28C。スクールが終わったら、僕が普段使いしているサーリーのスチームローラーに履かせて多摩川で遊ぶ予定。

サイクルジャージ姿で参加する子どもがほとんどななか、私服で参加したムスメたちはやや浮いておりましたが、キッズ向けスクールは自転車さえ乗れれば誰でも参加できる敷居の低さ。やさしい講師とお兄ちゃんお姉ちゃんたちのおかげで、最終的には楽しい思い出になったようです。

大人向けのスクールも同日に開催されていたんですが、「シクロクロスに出る・出ない」はさておき、バイクコントロール技術の向上にはうってつけなので、興味のある方は参加してみてはいかがでしょう。というか僕が参加してみたかったです。グラベルを走れるバイクがないですけど(笑)。

さて、そんな稲城クロスはじめ今回のスクールを主宰しているのが、「チャンピオンシステムジャパン」の代表であり、矢野口にあるカフェ「クロスコーヒー」のオーナーであり、スタイリッシュなヘルメットブランドとして日本でもおなじみとなった「KPLUS」などの輸入代理店を務める棈木亮二さん。

ついでにいえば安井がメッセンジャーをやっていたときの上司だったり、それ以外にもいろんなプロジェクトに携わっているので、棈木さんが何者なのかはもはや説明が難しいんですが(僕もよくわかっていません…笑)、とにかく自転車を軸にこれでもかというぐらい精力的に活動されています。

今回の参加費は大人3,000円、子ども1,500円。

あれだけの人数を派遣して、半日も付きっ切りで教えてくれることを考えたら破格値といっていいでしょう。キッズに関しては2日間のスクールを通して参加したら、稲城クロスのジャージとビブがもらえる大盤振る舞い。

お金の話はさておいても、こうして自転車やレースの裾野を広げる活動をしている方には本当に頭が下がります。

 

2日間の参加賞としていただいた稲城クロスのジャージとビブ(長女は体調不良のため2日目に参加できず)。シクロクロスの意味なんてまったく理解してない次女ですが、サイクルジャージがよほど気に入ったのか、帰宅後はこれを洋服の下に着てでかけていきました(違)。

自転車業界(の隅っこ)に身を置いていると「あそこがダメ」「あれはよくない」「あんなのやっても意味ないよ」と現状に文句をいう人がたくさんいらっしゃいます。「じゃあそれを改善するためにあなたは何かやられていますか?」と質問したら、ほとんどの方は口をつむいでしまうのではないでしょうか。

 

「自転車に乗るのが楽しくなった!」

帰宅後、次女がふとそんなことを言いました。夕食のときはうれしそうにスクールでの出来事を事細かに話しててくれました。

棈木さんのやられている活動は、いますぐ何かに結び付くものではないのかもしれません。

でも次女のこの言葉を聞いたとき、あぁ、棈木さんは未来への種まきをされているのだなぁと。もしかしたらこの日の受講者の人生を変えてしまう可能性だってあるかもしれない。

 

 

今年の夏、増田成幸さんにインタビューをさせてもらったとき、日本のロードレースの現状に関してこんなふうに彼が話してくれたのを思い出しました。

「良くしなくてはいけないところがたくさんあるのは、間違いないです。だけど、「ここが駄目だ」「あそこが駄目だ」と言うのは、とても簡単なんですよ。誰にでも言えるし、僕だって「言ってください」と言われたらいくらでも言えます。だけど大切なのは、じゃあどう良くしていくかだと思う」

イベントをやるとかレースを主催するとか、〇〇選手権で優勝するとか、そんな大きなことじゃなくてもいいと思うんです。

たとえば、ライドのついでにクロスコーヒーでコーヒー一杯飲むだけでもいい。活動を応援したいと思ったらそのブランドの商品をひとつ買うだけでもいい。それが巡り巡り巡ってこういうスクールやイベントの継続につながっていくはず。サイクリストひとりひとりがそういう意識を持って行動すれば、自転車業界はもっと良く、楽しく、未来のあるものになっていくのではないでしょうか。

最後になりますが、棈木さんはじめ、講師のみなさま、スタッフのみなさま、貴重な場を設けていただきありがとうございました。

(栗山)

これからの自転車業界を担う石川七海さん、野嵜然新くん、矢吹優夏さんの3名が、アドバイザーとしてスクールのお手伝い。ちなみに12月12日に土浦で開催されたシクロクロスの全日本選手権では、七海ちゃんが女子U15で2位、野嵜くんが男子U17でチャンピオン、矢吹さんが女子エリート3位…! そんな3人がINAGIの「I」「N」「G」をハンドサインで表現してくれました(笑)。