今年もこの季節がやってきました。日本バイシクル・オブ・ザ・イヤーの選考会です。
昨年の日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2021には、選考委員として参加しましたが(記事はこちら)、今年もお声がけしていただきました。

今年で5回目となる日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー(BOTY)は、その年を代表するモデルを選ぶという自転車業界最大のアワードイベント。過去の受賞バイクを振り返ると、第一回となる2018年はジャイアントのエアロロード、プロペル。2019年はスペシャライズド・ヴェンジで、2年連続エアロロードが受賞することに。2020年は新世代万能ロード、キャノンデール・スーパーシックスエボで、見事にトレンドを反映した結果となっています。昨年は色んな意味で衝撃的だったスペシャライズド・エートスでした。

さて、選考基準や選考方法は昨年とほぼ同じですが、改めて説明しておきます。
評価基準は「選考委員の好みのバイク」ではなく、「技術、時代性、コストパフォーマンス、その他あらゆる要素を総合して、最も優れた一台」というもの。「自分の好み」は関係なく、ただ「よく走るだけ」でもだめ、ということです。
個人的には「製品として優れているか」はもちろん、「コンセプトが注目に値するか」「使われている技術が注目に値するか」「今後のロードバイクシーンに影響を与え得るか」という視点を重視します。

選考委員は以下の通り。
スケジュールが合わなかったり、メディアが消滅したりして2人減ってしまいましたが、新たに吉本司さんが加わって、計9名となりました。

岩田淳雄/バイシクルクラブ編集長
山口博久/バイシクルクラブ副編集長
管 洋介/自転車ジャーナリスト
橋本謙司/自転車ジャーナリスト
浅野真則/自転車ジャーナリスト
難波賢二/自転車ジャーナリスト
田村明寛/フレイムディレクター
吉本 司/自転車ジャーナリスト
安井行生/La route編集長
(敬称略)

選定方法も説明しておきます。
まず、2022年モデルのロードバイクをノミネートします。ノミネート基準は以下の通り。コロナ禍の影響もあり、ノミネート基準は昨年と少々変わっています。

・昨年までは「バイシクルクラブの12 月号までに掲載されたニューモデル」という条件を設けていたが、今年はニューモデルが少ないため、情報が公開されており、かつ選考試乗会に試乗車が間に合う車種が中心となる
・同一モデル名でブレーキがディスク化されただけのモデルは対象外
・カラー変更などのマイナーチェンジは対象外
・同一モデルでディスクブレーキ仕様とリムブレーキ仕様がある場合は、ディスクブレーキ仕様が対象
・同一モデルで複数グレードがある場合、上級グレードを優先
・今回はTTバイク、シクロクロスバイク、グラベルロード、電動アシスト車は対象外

そうして集められた何台ものバイクのなかから、選考委員の投票により10台にまで絞られます。先日、その10ベスト(2022モデルを代表する10台)が決定しました。

<BOTY2022 10ベスト>
ピナレロ・ドグマF
アンカー・RP9
サーヴェロ・R5
メリダ・スクルトゥーラ チーム
オルベア・オルカエアロ
カレラ・フィブラディスク
チャプター2・トア
ビアンキ・スペシャリッシマディスク
ヨネックス・カーボネックスHRディスク
ルック・795ブレードRSディスク

ピナレロ・ドグマF
アンカー・RP9
サーヴェロ・R5
メリダ・スクルトゥーラ チーム
オルベア・オルカエアロ
カレラ・フィブラディスク
チャプター2・トア
ビアンキ・スペシャリッシマディスク
ヨネックス・カーボネックスHRディスク
ルック・795ブレードRSディスク

昨年は本審査の点数配分に苦労しましたが、今年はこの10ベストの選考からして難しかったですね。
まず、そもそもニューモデルが少ない。モデルチェンジのサイクルの問題もあるんでしょうが、コロナの影響も大きいでしょう。あえてどれとは言いませんが、個人的には「今年を代表するバイク」というには荷が重いバイクが数台ノミネートされた、という印象です(これは決してダメなバイク、と言っているのではありません。BOTYの評価基準とはややズレがあるかな……ということです。まぁ乗ってみなければ分かりませんが)。ラピエール・エアコードとファクターのオストロVAM(2020年のツールでデビューした2021モデルですが、昨年の選考会には間に合わず)が入らなかったのも意外でした。

今後は、今月末に行われる選考会(メーカーのプレゼンテーションと各モデルの試乗が行われます)を経て、「バイシクル・オブ・ザ・イヤー2022」が決定、来年1月20日に発表されます。

BOTY2022の結果は、バイシクルクラブをはじめとする参加メディアにて発表されますが、La routeでは10ベストバイクの評価、各バイクの点数配分とその理由、2022モデルの傾向、選考会の様子などを含めた記事を1月20日に公開します。お楽しみに。

(安井行生)