フロアポンプとロードバイクの進化
サイクルモードライド大阪の魅力の一つは物販でした。サンプル品や型落ち品などをかなり安く売っているブースも多く、安井も買い物をしてしまいました。
バーズマンのフロアポンプ、Maha-Apogee4。
サイクルモードの翌日も大阪で用事があったので、「明日もフロアポンプを持ち歩くことになるのか……」と迷いましたが、二十数年間自転車をやっていてフロアポンプは1本しか買ったことがなかったのと、かなりお安くなっていたのと、あさひのブースの女の子に「買ってくれたら嬉しいですぅ(ハートマーク)」と言われてしまったので、じゃそれ1本ください、と。
今までの自転車人生で唯一買ったフロアポンプとは、もちろんシリカです。自転車を始めるとき、先輩に「これ買っときゃ間違いねぇし一生持つぞ」と、言われるがままに買ったもの。さすがにパッキンは5~6回交換してますし、見た目は相当ボロになってますが、あのとき先輩が言った通り、あと20年は持ちそうな勢いです。
シリカは高かったですが、これを買ってよかったと思います。
仕事で色んなフロアポンプを使いましたが、2,000円くらいのプラスチック製のフロアポンプの、あのぐにゃぐにゃの剛性感とパフパフ言いながらの青色吐息のポンピング感は、それが「ただ空気を入れるだけの行為」とはいえ、我慢しかねるものでした。
走りに行く前の準備にも、僕は機械動作の気持ちよさを求めてしまいます。ポンピング動作が、乗車前に心を落ち着けるための重要な段取りになっているような気がするんですね。だからいくら安くて高圧まで入っても、ぐにゃぐにゃの青色吐息は買う気になれなかった。
その点、シリカは大丈夫。ずっしりとした金属製の本体。頼もしいポンピング感。スタイリッシュでもオシャレでもないですが、いかにも「空気を圧縮してタイヤに充填している」という生々しい実感がありました。
だから僕がフロアポンプを選ぶ基準は、ポンピングの軽さとか回数とか、最高空気圧とか見た目ではなく、「動作の質感」だったりします。
さて、バーズマンはどうだったのか。
2週間使ってみた感想、これがなかなかよかったです。
ベースは樹脂製で多少グラグラしますが、本体はアルミでシャフトも太く、全体的な剛性感が高く、ポンピング感はかなりしっかりしたもの。木製のハンドルはルックスのよさだけでなく、その温かな手触りによってポンピングの質感の向上にも貢献していると感じます。
それだけでなく、使い勝手もいいんですね最近のフロアポンプは。ベースが樹脂なので床の傷を気にする必要がない。ポンピングは軽く女性でも高圧まで入れられる。5度傾いた本体は、確かにポンピング動作を自然にしてくれているような気がします。重量も軽い。独自のヘッド、SNAP-ITも悪くない。エアリリース機能も付いてるし。これはいい買い物でした。
二十年ぶんの進化を感じながら空気を入れていると、なんかこれ最新のロードバイクに似てるよな、と思いました。
効率よく無駄なく軽く、万人に優しくイージーにスマートにスタイリッシュに……と、フロアポンプもロードバイクと相似系の進化をしていると感じられるのは、僕だけでしょうか。現在のものの進化とは、全てそういう方向性なのかもしれませんが。
(安井行生)
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