もう怖いものなし
ずっと深掘りしたかった表面処理、やっとその願いがかないました(前編、後編、番外編)。
表面処理について本格的に興味を持ったのは、マヴィックのエグザリットリムが出てきたときです。
PEO? プラズマ電解酸化処理? ぷ、プラズマ?
色々調べてみたものの、「耐摩耗性が向上するなんかすげぇ表面処理」くらいのことしか分からず、泣く泣く広報資料の文言をそのまま書き写すというやっつけ仕事にならざるを得ませんでした。それでもライターの端くれか。情けない。
シマノのシルテックやチェーンのDLCやチェーンリングのテフロンコーティングに出会ったときも、事情は同じ。表面処理は、ずっと僕の中で燻っていたテーマだったんです。
それが千代田第一工業のお二人のおかげで、かなり見通しがよくなりました。
このような技術系・工場系取材は、人が全てです。特に今回のような千代田第一工業のような会社の場合、いくらメディアに出ても自社の売り上げには直結しません。皆さんだって、「そういうことならウチの○○にダイクロンかけてみよ」とはならないでしょう。
それなのに今回は計3回も工場にお邪魔して、何時間もお二人の貴重な時間を頂いてしまいました。でも、お二人は面白がって付き合ってくださった。飯嶋さんが自転車乗りということもありますが、お二人の人格によるところが大きいと感じます。改めてお礼を申し上げたいと思います。
ところで。前編のトップ画像と後編の本文中に登場したあのCS-R8000はどうなったのか。トップ側にダイクロン、ロー側にシリセラコートをかけてもらった、スペシャル・スプロケット。
使ってみました。
そもそも、番外編の公開から2週間も経ってなぜ今頃表面処理の編集後記的なDAYSをアップしているのかというと、やっとこのスプロケでそれなりの距離を走れたからなんですね。
写真は400kmほど走った状態。かなりの割合を登坂(高負荷)が占めています。
結果から言うと、えー、表面処理の効果としてはほぼ感じられませんでした。トップ側(ダイクロン)の変速“感”が、ちょっとカリッとするかな? くらい。しかしトップ側は全く剥がれてません。さすがダイクロン。
ロー側のシリセラコートは、チェーンが走るところは剥がれてますが、残っているところは汚れが取れやすくなって掃除が超ラクでした(笑)。
後編で鈴木さんも言われてますが、チェーンとチェーンリング&スプロケは摺動ではなく点接触がメインだと思われるので、摺動抵抗を減らす表面処理よりも注油に気を遣ったほうが効果は大きそうです。
というわけで、これで表面処理探求は一段落。
一段落はしましたが、どっかのメーカーがナゾな表面処理を採用したら、すぐまた取材に行きます。鈴木社長は「また新しい表面処理が出てきたら、いつでも来てください」と言ってくださいました。「ウチの飯嶋貸しますんで」と。
もう自転車界にどんな表面処理が出てきても怖いものなしです。
(安井行生)
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