Corratec C-F1

この記事で「一晩で3回コンポを組み替えたことも……」と書いていて、ふとコラテックに乗りたくなりました。コラテックのC-F1。久々にラックから降ろして、ホコリ払ってホイール履かせて、ちょいと大垂水まで。

このバイク、ストックモデルではなく、イタリアのマウロ・サニーノというビルダーのおじさんが個人からのオーダーを受け、ドイツのコラテック社でハンドメイドしていたという、ちょっと特殊なカーボンフレームなんです。

しかも、トップチューブとダウンチューブが、ケブラーハニカムシートをカーボンシートで挟むというダブルウォール構造になってる。もちろんモノコックじゃそんな作りにはできないので、チューブだけを予め成形しておき、チューブtoチューブでフレームにしてるんでしょう。というかオーダー前提のカーボンフレームだとチューブtoチューブくらいしか選択肢がないので、じゃあ特殊なチューブ使ってみる?という流れだったのかもしれません。見た目は地味ですが、実はかなりマニアックな一台。

ライターを始めたばっかの頃に広報車に試乗させてもらい、その攻撃的なのに紳士的でもある走りに感動し、いつかは……と思っていたところ、10年くらい前にヤフオクで見つけ、ジオメトリが合いそうなので買っちまったんです。かなり硬いフレームですが、硬すぎるギリギリ一歩手前という感じで、上りでの軽快感は最高。手放せずにずっと持ってます。

かなり珍しいフレームなので知らない人も多く、これを見て反応したのは今までたったの3人。「お、これは確かオーダーできるヤツですよね」と言ってくれたのはキャニオンジャパンの石山さん。

いつも冷静ななるしまフレンドのメカニック小畑さんは、C-F1を見て珍しく興奮してましたねぇ。「実物初めて見たかも。ちょ、ちょっと写メ撮っていい?」。

3人目はLa routeアドバイザーの吉本さん。「これは貴重なフレームを手に入れましたね。そういえば取材でコラテックの本社に行ったとき、社屋の一角でマウロ・サニーノさんが一人で黙々とこれを作ってるところ見ましたよ」だって。この人にはかなわん。

一晩で3回コンポを組み替えたバイクってこれなんです。最初はスーパーレコードで組んでたんですが、ある日これをデュラにしたらどうなんだろうと思い立ち、7800で組み、すぐ9000で組み直し、やっぱカンパが合うなとスーレコに戻しました。

フォークは軽さを重視したもの(剛性不足気味)が付いていたので、タイムやらイーストンやらを試した結果、ピナレロのオンダフォークに落ち着きました。ホイールもいろいろ試したんですが、なぜかこのフレームはキシリウムESとの相性が抜群によく、ずっとESを履かせてたんです。

今回は久々に違うホイールで走らせてみました。フロントに初期型Rシス、リヤにヴァントゥーのチューブラーというファイバースポークコンビ。これはこれで悪くなかったですが、やっぱバイク全体のバランスとしてはキシリウムESのほうがいいような気がします。ライトウェイトよりキシリウムのほうがいいなんてことがあるのかと思われるかもしれませんが、バイクの“バランス”ってそんなもんです。

結局キシリウムESに戻しましたが、こんなふうに「自転車のセッティング」ってずっと遊べるんです。新しいホイールを買ったら付けてみる。いいステムを見つけたら付けてみる。ただ付けてみるだけじゃなく、相性はどうか、トータルの剛性感はどうかと考えてみる。10年前の自転車でも、機材遊びは尽きません。

そうそう、Q&Aに質問をお寄せいただきありがとうございました。どれもマニアックかつ核心を突いたものばかりで、読んでて嬉しくなりました。今週末は高岡さんインタビューの後編、来週末は「最後のリムブレーキ用ホイール」の試乗編と総論をアップする予定なので、Q&Aの回答は再来週になると思いますが、全ての質問にお答えしようと思っています。

(安井行生)