GROWTAC木村将行

La routeの立ち上げにあたって、全面的に協力をお願いした人物がいます。
サイクルトレーナーなどを製作する「グロータック」代表の木村将行さんです。

今から10年近く前でしょうか、なるしまでイコールプーリーという小さなパーツを見つけたんです。カンパニョーロのレバー(当時は11速)に取り付けて、シマノの変速系統(当時は10速)で動かすという、いわゆるシマニョーロを実現する素晴らしき変態パーツ。アメリカかどっかの片田舎にいるマニアおやじの手作りだろ、と思ってたら、なるしまの店員さんが「それ作ってるの日本人ですよ」とか言うわけです。しかも川崎の多摩サイ沿いに住んでるとか。

僕はそれなりの人見知りなんですが、こんな面白いモノを作ってる人に会いに行かないわけにはいかない、と思いました。それが木村さん。

すぐにグロータックのHPからメールを送ってアポを取って、話を聞きに行きました。そのときのイコールプーリー開発秘話ががめちゃくちゃ面白かった。機会があればここでも再掲したいと思います。
で、木村さんの経歴を簡単に紹介すると、某大手電機メーカーで半導体製造装置開発・特殊ロボット開発などの開発設計業務、製造技術・量産技術等の製造に関わる業務、ソフトウェア・Webシステム開発等々のIT業務、経営企画・スマートフォン商品企画・PC向けのサービス企画・サービス開発などの業務……と、なんだかすごいことをやってこられた方。2009年に自転車好きをこじらせて(笑)、グロータックを設立されます。

自転車歴はというと、中学生のときにスポーツバイクに乗り始め、学生時代はトラック競技でインターハイ、国体などに出場。社会人になりオートバイのレースなどに浮気をされますが、2003年に自転車レースを再開。なるしまフレンドに所属し、ツアー・オブ・ジャパン、ツール・ド・熊野を何度も完走、ツール・ド・おきなわ国際上位入賞数回、シクロクロス全日本選手権12位などなど、こちらもホビーレーサーとしてはかなり速い部類の人。

グロータック設立を機にレース活動からは距離を置かれていますが、ただ「数字だけの人」「頭脳だけの人」ではなく、「自転車乗りの感覚」も持ち合わせているところが素晴らしい。「工学、物理、数字、機械」の面からも、「人間、感覚、楽しさ」の面からも、物事を捉えられる人です。だからこの人にLa routeのテクニカルアドバイザーをお願いしたい、と思いました。

一応言っておきますが、協力してもらっているからといって、グロータックの製品を無理に褒めるなんてことはしませんし、木村さんも「ウチの製品をよく言ってもらおうなんてこれっぽっちも思ってません。もし今後グロータックの製品をレビューしていただくことがあったとしても、悪いところは悪いとちゃんと書いてほしい」と言ってくれています。

今後、自転車関連の物事を技術的に深堀りするときには、木村さんにご協力をお願いする予定でいます。

(安井行生)