初めて触れたカルチャー
来年日本で行われるCMWC(サイクルメッセンジャーワールドチャンピオンシップ)。その前哨戦ともいえるイベント「JCMC 2022 Yokohama」に行ってきました。
La route読者なら、編集長の安井が元メッセンジャーであることはご存知かと思いますが、僕も以前、メッセンジャーに憧れていた時期がありました。
僕が18歳のころ。足の靭帯を切ってしまい、そのリハビリのつもりでプジョーの「Delite」という、クロスとマウンテンの中間みたいなバイクを購入。当時はこれで都内の移動のほとんどをこなしていました。また不動産関係のアルバイトをしていた関係で、東京の地理や道路に詳しかったこともあり、勝手に「メッセンジャー、向いてるかも」と思い込んでしまってたんです。
とはいえ、まだメッセンジャーカルチャーのことはよく知らなかったし、肉体的に相当過酷なことや、デリバリーに迅速かつ高度な判断力が求められることも分かっておらず、とりあえず自転車でA地点からB地点に荷物を運びさえすればいい、という認識しかなかったんですが。
で、実際に当時、僕も都内を走りながらメッセンジャーを見つけると、彼らの仕草や走り方、動き、バイクの仕様などを観察していたものですが、そのうちに「かっこいい」「僕にもできるはず」という気持ちから、「すげぇ」という畏敬の念になり、やがて「大変そう」「ちょっと怖いかも」というふうに自分の中の“ヘタレ”なメンタルが顔をのぞかせ、結局、メッセンジャー「TT(←自分で勝手につけたメッセンジャーネーム)」は誕生しなかったわけなんです。
前置きが長くなってしまいましたが、今回のJCMCでは、そんなメッセンジャーの日常業務の的確さとスピードを競うメインイベント「デリバリーレース」を間近で観戦することができました。
最も印象的だったのは、レース全体の雰囲気のよさ。
誰よりも早く配達任務を完了すべく、ひとりひとりがライバルであって然るべきなんですが、スタート前からどこか和気あいあいとした空気があふれていました。
レース中もお互いに声を掛け合ったり、必要な場面では譲り合ったりもしていて、参加しているメッセンジャーみんなが、大きなひとつの仲間なのだと再認識。やっぱりこの人たち、かっこいいです。
それにしても、荷物を背負ったまま走って止まってを繰り返し、常に集荷と配達の最も効率的なルートを考えながら、確実に安全に荷物を運び届ける。これを毎日こなすなんて、並の体力・精神力・知力では務まらないはず。自分はメッセンジャーにならなくて正解だったとあらためて思いました(笑)。
この日はデリバリーレース以外にも、出展ブースに立ち寄ったり(パナレーサーブースではサイクルキャップをゲット)、キッズ向けのイベントを見物したり(BMXスクールには安井の愛息くんも参加)、夜のピストクリテリウムで盛り上がったりと(フロントライトを点けて疾走する姿が新鮮)、結局丸一日楽しんでしまいました。
僕個人としては、また新たな自転車カルチャーに触れられた一日に。そして否が応でも、来年のCMWCが楽しみになってきました。
(高山)
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