Festive500が教えてくれた
2023年末、Festive500をやってみることにしたのはすでに高山のDAYSでお伝えした通り。高山は体調不良もあって白旗をあげウォーキングのFestive50,000(?)に切り替えましたが、いっぽうの僕はというとなんとか時間を工面してクリアすることができました。
Festive500の要件は、12月24日~12月31日までの8日間で500kmを走ること。それをクリアするためには、単純計算で1日あたり62.5km走る必要があります。ロードバイク乗りにとって62kmという距離を走ることそのものは大したことはないですが、それを8日間続けるのは至難の技。一番の課題は、時間の確保です。それもただでさえ慌ただしい年末の。
初日となる12月24日は足慣らしをかねて50kmほど、12月25日は高山の記事にもある通り200kmライドを敢行。一気に折り返し地点まで来て「あ、意外とすぐに終わるじゃん」と思ったものの…ここからがしんどかった。
しがない自営業者なので年末ぎりぎりまで仕事が詰まっており、ライドに丸1日割けたのは25日のみ。あとは隙間時間を見つけて自転車に乗るしかないのです。
限られたわずかな時間のなかで残り250kmを走破するためには、効率よく距離が稼げるルートを選ぶ必要があります。そこで手始めに多摩川サイクリングロードことタマサイで羽田の大鳥居まで往復。忘年会も距離稼ぎのために自転車で行き(もちろんアルコールは一滴も飲んでません…!)、帰りもヒトケのない都心を深夜まで走り回ったりもしました。さらに家族行事や家の大掃除をほっぽらかしては自転車に乗り、ようやく500kmを達成することができたのです。
500kmを走り終えた直後は達成感とか充足感なるものは一切なく、「走ることが本業なわけでもないのに、家族にまで迷惑かけて何やってんだろう俺」でした。
目的地のないライドと、
代わり映えのない景色。
作業のようなペダリングと、
心拍をあげないための抑揚のない走り。
自転車に乗る目的を「距離」にのみ絞ってただ走るという行為は自分にとっては苦行でしかなく、自転車に乗っていてもまったく楽しくない。辞めるという選択肢ももちろんあったんですが、ここまでくるともはや意地でした。
Festive500は、寒さで乗る人が減ることから「冬でも乗ろう!」というRaphaの掛け声のもとスタートしたもの。もちろんそこには、着て、消費してもらわなければ商売にならないサイクリングウェアブランドとしてのビジネスも無関係ではないでしょう。
でも今回、そんなFestive500に初めてチャレンジして、強制的に自転車に乗って淡々と距離を稼いだことで、「自転車の楽しさって何だろう」という僕自身の自転車観と改めて向き合う時間にもなりました。
年齢を重ねると趣味趣向が固まってきて、新しいことや自分にあわないことをやらなくなりがちです。自分を喜ばせるための一番の近道が分かってくるからです。でも時にはこうして普段やらないことをやってみたり、「はみだしていく」(by 新しい学校のリーダーズ)ことも大切。それによって凝り固まっていた趣味趣向に、新たな息吹を呼び起こすこともあるのですから。
とはいえ、しっかりと時間を確保して楽しめる状態を構築できない限り、僕が再びFestive500にチャレンジすることはないと思いますが、色々と悩みの尽きなかった2023年の年末にFestive500にチャレンジして良かったと思っています。自分のなかの「好き」の輪郭がより明確になったから。年末の忙しさと寒さの中無理して自転車に乗った影響か、12月31日から1月1日にかけて体調不良で寝込むというオマケつきではありましたが。
(栗山)
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