新年あけましておめでとうございます。2023年の年末はなんとかFESTIVE500をクリアしましたが、基本的には寒くなると自転車に乗る頻度が下がり、自転車をいじる時間ばかりが増えていく栗山です。

さて先日、ディヴァージュをバラバラにしたのはお伝えした通りですが、それをきっかけにDIY好きな僕のなかのいじりたい熱が再燃。何かないかと物色していたら、ありました。ペダルです。

現在ロードバイクにメインで使っているのは、以前DAYSでも紹介したシマノのデュラエースです。型番でいうとPD-R9100ですね。デュラは9200系になったというのにペダルだけ9100なのはもはや進化のしようがないということなのかなんなのかはよくわかりませんが、とにかく現時点でのシマノのトップグレードのロード用ペダルです。2年前ぐらいに新品で買いました。

ただ試乗やらなんやらで毎回自分の自転車からペダルを外すのは面倒ということで、メルカリやヤフオクを駆使して程度のよいPD-9000とPD-7900をお手頃価格でゲット。どちらも中古なので、オーバーホールしなければと以前から思っていたのです。ちなみにシマノのデュラペダルがカーボンコンポジットボディになったのは7900からですね。

やり方やコツはブログやYouTubeに腐るほど転がっているので詳述はしませんが、そもそも公式サイトにも必要な工具や分解方法が載ったPDFがアップされています。

工具は基本的なもの以外に17mmと20mmの薄型スパナとスナップリングプライヤーが必須となります。20mmの薄型スパナだけなかったのでこれだけ新たに買いました。写真には写っていませんが、ピンセットも用意しておいた方が吉。

スナップリングプライヤーはCクリップを外すために必要で、こんな風に使います。広げすぎるとクセがついて戻らなくなので、広げすぎに注意。モーターサイクルの整備はほぼDIYなんですが、ちょくちょくこのスナップリングプライヤーの出番があるんですよね。

 

こちらがPD-9000の分解図。

こちらがPD-R9100の分解図。7900や9000には奥に樹脂部品とニードルベアリングが入っていますが、9100はそのどちらもなくなっています。軽量化なのでしょうか。

右ペダルが逆ねじで左ペダルは正ねじなのと、(A)のラバーシールと(C)のロックナットには向き指定があるので注意。PD-9000のマニュアルには記されていませんが、シャフトの真ん中につく樹脂部品にも向きがある気がするんですがどうなんでしょう(実際にはめると部品のすわり・・・が違うんですよね)。なお、アルテグラグレード以下は内部構造そのものが異なります。

手がグリスまみれで写真を撮る余裕がほとんどないためだいぶ端折りますが、ご覧の通りバラバラに。たぶん一度も分解されたことがなかったんでしょう…ヘドロのようなグリスが大量に出てきました。ちなみにSPDと同じくこちらのペダルもラバーシールの単体販売はないという…。シマノさん、ぜひ部品単(以下ry

話が前後しますが整備するときはこういうバットがあると作業がめちゃくちゃ捗ります。写真右上に写っているのは茶こし。どちらも100均でゲットしたものですが、鉄球をはじめ各パーツを洗浄するときに便利なんですよね。

勢いに任せてPD-9000とPD-7900を一気にオーバーホール。時間を気にせずやり続けられるのが素人の特権でもあるので、球当たり調整は納得いくまでやりました。

使用したグリスは7900がデイトナの万能グリス、9000はワコーズのマルチパーパスグリス。家にあったというだけで、特に深い意味はありませんが、数年後に分解したときにどういう違いが出るか楽しみです。

分解と組み立てのノウハウを忘れないうちに、数日後にPD-R9100もバラバラにしました。使用から約2年、5,000kmほどでしょうか。グリスにはまだ粘り気と輝きが残っていました。

7900と9000に使用したグリスは前述した通りですが、9100にはシマノのプレミアムグリスを使いました。

いきなりですが、組み立て完了。せっかくなので9000と9100を並べてみましょう。左が9000、右が9100です。9000のカタログ重量が248gに対し、9100は228gに。その差、わずか20g。

外観上の違いはシャフトボディの根っこの部分がメッキか黒か。あとはペダル踏み面にある金属プレートの形状と、それがビス止めか接着かの違いですね。細かなところ見ていくと、表裏共に肉抜きも異なっています。

内部構造的にはニードルベアリングの有無が大きな違いでしょうか。

 

ちなみに7900より前のモデルは、クリートをはめる赤丸でかこったパーツが補修部品として出ており、取り外しも可能でした。しかし7900以降はかしめられてしまったため、取り外しすら不可能に。ピボットになっているので、ここのシャフトもグリスアップしたいんですけどね。

そもそもクリートの脱着が多いとこの部品が摩耗してしまうので(よく脱着する方の足が摩耗する)、中古でペダルを買うことがあればここの形状チェックはマストです。というか通常使用であっても、この部品の角が摩耗したら廃棄しか残された道はありません。相当に使い込まないとそうはならないとは思いますが。

こうして近年のデュラペダルを遡ってみると、モデルチェンジごとに部品点数が減り、耐久性を捨てる方向に進んでいるような気がします。現代のものづくりは性能を追求する一方で製造工程をいかに無駄なくシンプルにするかという命題もあるし(製造業に人材が集まらないという課題もある)、なによりモノを売らないとメーカーとして立ちゆかないし、そもそもレース機材に耐久性はいらんだろう、という考えもあるのでこれはこれで正解なのかもしれませんが。

 

カーボン成型技術が確立され、ハイエンドロードに至っては余裕でUCIの規定重量を下回れるようになったいま、次の9200は軽さよりエアロを意識したモデルになるのか(そもそもペダルにエアロは関係ない?)、もしかしたらクリートの互換性すらすっぱりと切り捨て別の何かに生まれ変わるのか、はたまた他の付加価値をつけてくるのか、などと妄想がふくらみますね。

(栗山)