環島を終えて
帰国してからというもの色んな方に「台湾ツアーどうだった?」と聞かれますが、そのたびに「めちゃくちゃオススメです」と答えています。
その理由のひとつが、ツアー会社である「ジャイアント・アドベンチャー」のホスピタリティの高さ。
現地にいったら「あれがダメ」「あそこが気に入らない」といったことが1つや2つはあるかと思っていましたが、宿、補給食、コースガイド含め、何のストレスもありませんでした。むしろ毎日のホテルは、想像以上の快適さでかなり優雅な気分を味わえました。
驚いたのが今回同行したガイド全員が、環島のコースをすべて暗記していること。途中何度も右左折があるし、昼食やホテルなどは環島のコース外なはずなんですが、900kmという道程のなかで「道を間違えた」ということが一度もなかったんです。疑り深い僕は、先頭を走るフェイさんのサイコンを見せてもらったんですが、ナビ機能すら使っていないのです。
今回のツアーではたまたまシズカさんが日本語を使えましたが、日本語をしゃべられるスタッフは社内に数人しかいないとのこと。そうなると日常会話は必然的に英語がベース。英語が苦手なガイドや参加者も多いので、スムーズなコミュニケーションを取るという点では少し難があるかもしれません。とはいえ今どきは翻訳アプリも充実しているし、中華圏は漢字を見ればなんとなくの意味が分かるので、旅慣れた方ならカタコト英語でもなんとかなるでしょう。
環島ツアーは月に何度も開催されていますが、シズカさんによれば春か秋がベストシーズンだそうです。ちなみに日本人の参加者は全体の数%しかないそうで、その理由はやはり、長期休暇がとりにくいことにあると思われます。
毎日約100kmを走るわけですが、体調が悪かったりすればいつでもサポートカーに乗ることができます。今回の参加者のなかには、「午前中はミーティングがあるから」とサポートカーの中でリモート会議を済ませ、午後からライドに参加、という方もいました。ツアー全体にいい塩梅のゆるさがあるんですね。
なお、インスタグラムのストーリーアーカイブに環島の様子を残してあるので、お時間ある方はぜひこちらもご覧ください。
費用についても触れておきたいと思います。
ツアー代金は4人部屋で29,000台湾ドル、3人部屋で32,500台湾ドル、2人部屋で34,000台湾ドル、1人部屋で44,500台湾ドルです。申し込みはすべてウェブサイトからで、デポジットを支払った後、残金を支払うという流れ。決済はクレジットカードで行いました。
僕は1人部屋を申し込んだので、ツアー代金の44,500台湾ドル(日本円で192,583円)と、ANAの往復フライトで82,900円。あとは空港で中華電信の容量無制限のeSIMを買ったのと(15日で700台湾ドル。約3,200円)、途中夕食が出ない日の出費を加えても30万円強が9日間でかかった総額となります。前泊することや最終日もホテルに宿泊することを考えると、35万円が旅の総予算と考えておくといいでしょう。
ちなみにツアー代金にはバイクのレンタル料金が含まれていますが(ジャイアントのアルミフレームのクロスバイク)、自転車を持参しても返金はなし。また、eバイクのレンタルはアップチャージが必要となります。
35万円が安いか高いかはその人の価値観によりますが、仲間や家族と4人部屋コースで参加すれば合計金額は一人当たり25万円代にまで下げることができます。
自分はペダルバイクで奥さまはeバイクで参加するというという選択も可能(今回参加したメンバーにもいました)。
また今年は、2023年11月11日から19日まで台湾全土で開催される国家的規模の環島サイクリングイベント「2023 FORMOSA 900」に、日本人サイクリストが「日本騎士團」として公式に参加できるツアーが4年ぶりに開催されます。ツアー参加費は48万円(個室だと+60,000円)と、僕が参加したツアーよりも値ははりますが、日本国内からのフルサポートが付くようです。台湾一周したい、でもなるべく不安要素を減らしたい、ということであればこちらも選択肢のひとつになるかと思います。
体力的な話をすれば、1日100km、1,000mアップできる方であればペダルバイクで問題ないでしょう。というか、僕でも走破できたので、La route読者の皆さんならほぼ間違いなく大丈夫かと(笑)。どんなルートを走るかは、STRAVAの走行ログを張り付けておくので参考にしてみてください(リンクを辿れば9日分のすべての走行データがみられます)。なお、台湾の地図データはガーミンにプリインストールされていないため、自身で地図を入れる必要があります。僕はbaruさんのこちらの記事を参考にさせていただきました。
さて、台湾が自転車大国であることは皆さんもご存知の通りですが、そんな台湾を一周する「環島」は、台湾人が一生に一度はやりたいことのひとつになっているのだそう。
そのきっかけともいえるのが、2008年に台湾で大ヒットした映画『練習曲』にあります。この映画はギター好きの聾唖の若者が、自転車で台湾を一周するというストーリー。それを見たジャイアントのキング・リュー会長が73歳で環島にチャレンジしたというのも有名な話で、これを機に台湾国内における自転車ブームも手伝い、自転車での台湾一周が世代問わず広がっていったんです。
「いつかはやってみたい」
みなさんもそんなふうにぼんやりとした目標が1つや2つはあるのではないでしょうか。でも、そのいつかは、一体いつなのか。人生は日数で換算すると30,000日もないそうです。年齢を重ねるたびにどうしても色んなコトに対して腰が重くなってしまいますが、時間は有限。人はいつか必ず死にます。環島や自転車に限った話ではありませんが、今回の記事が新しいチャレンジに足踏みしている方の後押しになれば幸いです。
(栗山)
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