数日前のDAYSで、日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー(以下、BOTY)の審査委員としてLa routeも声をかけていただき、すでに10ベストがノミネートされた旨お伝えしました。

先日さらにその10ベストのなかから「2020のベストバイク」を決めるべく2日間に渡って開催された、各メーカーのプレゼンテーションと10台の試乗会に安井とともに参加してきました。あ、審査委員は僕じゃなくて安井ですよ、念のため。

 

 

BOTY2020

試乗会当日は曇ったり雨が降ったりというすっきりとしない天気ではありましたが、審査委員の方々はそんな悪天候にもめげずがっつり10台に試乗。各メーカーのプレゼンを横並びで聞いた翌日に、ノミネートされた10台にまとめて試乗できる機会なんてそうそうないですからね。主催されたBiCYCLE CLUBの岩田編集長はじめエイ出版の皆さん、メーカーならびに輸入代理店の方々には改めて感謝です。

余談ですが、このときの岩田さんとの対談記事にもあるように、カテゴリー(MTB、グラベルロード、eバイクはなくてもいいのとか)、試乗車のサイズの有無(サイズが合わないバイクに乗っても評価できないですよね)、選考や審査委員の基準など課題はまだたくさんあるものの、個人的にはBOTYそのものが自転車業界にとってなくてはならないものになってほしいと思っています。まだ参加していない主要自転車メディアもあるので、来年以降はしっかりと足並みを揃え(僕がいうことじゃないですけど)、BOTYがメディア、メーカー、代理店、そして何よりユーザーの皆さんにとってより価値のあるものになるとよいですね。

 

さて、「2020年のベストバイク」の発表や当日の詳細は、12月末公開予定の安井の記事をご覧になっていただければと思いますが、ここではBOTYの試乗会場でみかけた「いいね!」を勝手に紹介しようと思います。名付けて「バイシクル・ツールボックス・オブ・ザ・イヤー」(Bicycle Toolbox of the year)。略して「BTOTY」(ブトティ?)。

 

それでは突然ですが………1位を紹介しちゃいます。

 

サーベロのブースにあったイベント用にセットアップされたツールボックスです…!(パチパチパチ)

はい、Snap onの巨大なツールチェストとかではありません。むしろぱっと見は、フツーなんです。

僕も一瞬そう思ったんですが、よくよく見るとスポンジをツールボックスとツールの形にそれぞれDIYで切り出し、「自分専用のツールキット」を作っているんです。中身はフタ側に1階層、地面側に3段重ねの合計4階層仕様。それぞれを文字で説明すると以下の通り。

 

階層1/工具(アーレンキーなど)
階層2/工具(アーレンキー、ニッパー、トルクレンチ)
階層3/工具(大きめの工具)
階層4/ワイヤーキャップなどの消耗品やブリーダーキット

正直、これだけなら僕も驚かないんですが、面白いのはこちらです。

前述した通り工具箱を開けて「階層3」を使おうとすると「階層2」が邪魔になるわけです。それを解決するために、木板をこれまたDIYで切り出し「階層2」を置くための下棚にして拡張しているんです。この下棚も工具箱に沿って丁寧に切りとられているのがわかりますかね?

「階層2」のスポンジにも着目ください。3枚重ねにすることで強度を出しながらも(強度が低すぎると下棚に置いたときに工具の重みでグニャッとなってしまう)、工具箱を持ち運ぶときにガチャガチャと暴れないようにもしています。

 

クリヤマ的萌えポイントは、このケースにもあります。そう。ミルスペックをクリアした超ヘビーデューティ仕様で知られるペリカンなんですね。ただの入れ物といってしまえばそれまでですが、ここに100均のプラスチックケースではなく、高品質なものをセレクトするセンスも高ポイントです。これを作ったのは、サーベロの輸入代理店、東商会に勤める佐藤唯行さん。実際に会場にいらしていたので色々と聞いてみました。

「クルマのスペースには限りがあるので、なるべくコンパクトかつ片手で持ち運べるようにつくりました。アーレンキ―などの工具はなくしやすいので、こうしてはめ込み式にしておくと紛失しにくいうえに見栄えもいいですよね。ブース内はお客様にも見られるところなので、整理整頓は重要だと思います。ペリカンですか? もっと安いものも候補にあがったんですが、結果的にちゃんとしたものを選んだ方が長持ちするんですよね」

とのこと。

メーカーブースで注目されるべきは当然ながら自転車そのものなんですが、僕自身工具やDIYも好きなのでついこういうところにも目がいってしまいます。ちょうど隣にブースを構えていたキャニオンの竹内 豪さんいわく、「世界戦で活躍するメカニックのツールボックスも、こだわりだらけで見ているだけで楽しめますよ」とのこと。需要があるのかどうかはわかりませんが、「自転車工具」だけにスポットをあてたディープかつマニアックな企画もやってみたいですね。

「BOTY」の裏でひっそりと開催されていた(?)バイシクル・ツールボックス・オブ・ザ・イヤーこと「BTOTY」。今年度は審査委員長クリヤマの独断により佐藤さんに栄冠が輝きましたが、「オレの工具箱も見ろ!」という挑戦者、お待ちしています…!

(栗山晃靖)

 

おまけ。

La routeにはいわゆる「工具箱」が存在しません。写真右下にチラリと写っているMOTULの使用済みオイル缶に、ウェス、基本的な工具、交換用チューブなど小分けにしてぶちこむ漢気仕様です(笑)。