2023年12月1日から3日までの個展「親愛なる路上の囚人たち」が、つつがなく終了し、ほっと一息をつきながらこの文をしたためています。

サイクリングジャーナリストを自称して活動をしているわたくしですが、物書きを中軸にしつつ、編集もするし、ポッドキャストもするし、海外ロードレースの実況もするし、シクロクロスでは会場MCも。ある意味節操なく、なんでもチャレンジしようとやってきたここ数年ですが、逆説的に自分が何者なのかよくわからなくもなっていたのでした(そのわからなさを自分自身が楽しんでいるわけですが)。

今回、個展の開催をLa route編集部の栗山さんに勧められ、ふたつ返事で快諾したわけですが、個展というからには小俣雄風太という個人を表すものでなければならない。これまでふわふわとしていた「自分らしさとはなんだろう」と正面から向かい合う機会となりました。

写真の展示には、長尺の文章によるストーリーを添えて、来場者の方に写真に映るツール・ド・フランスの世界にじっくりと浸ってもらうことを意識しました。また、書籍の展示では配布したブックレビューとともに、こちらもじっくりと時間を使っていただけたかと思います。

今年も製作した冊子「#GRで撮るツールドフランス」は会場分が早々に完売してしまい、土曜午後にいらした方にはご不便をおかけしました。会場で注文いただいた分は現在配送にまわっています。まもなくお手元に着く頃かと思います。個展に来られなかった方も、ぜひオンラインストアよりご覧いただけると幸いです。

3日間を通じて、いらした大勢の方たちとお話できたことが、今回の一番の収穫であったと感じます。というのも、そのみなさんとこんなにも多種多様な接点を持てていたのかと気づくことができたからです。

執筆した記事、会場でのMC、ポッドキャスト、昨年の冊子、レース実況、Rapha時代の活動、etc…etc…

こんな具合に、今の自分の活動の定まらなさが、かえって多くの人たちに繋がっていることを感じさせ、勇気づけられました。レース会場でよく見かける顔も、普段着だと全然判別がつかない! なんてことも、こうした機会があってこそです。

ご来場いただきました全てのみなさまに感謝を。わたくしの仕事は受け手がいなければ成り立たない仕事であり、その受け手の方たちと現実の場所で接点を持てたことは今後の仕事に大きな励みとなりました。

そして、いつも記事を自由に書かせてくれるそのまんまのスタンスで、会場を自由に貸してくださり個展の機会を与えてくれたLa route編集部の栗山さん、高山さん、安井さんには改めて心から御礼申し上げます。さらに精進して、よい記事を寄せられるように気持ちを新たにしました。

みなさま、本当にありがとうございました。

(小俣雄風太)

12月1日(金)個展初日の夜は、La routeのお二人とのトークセッション。安井さんと自転車を巡る書き手としての視点やスタンスについて語り合いました。コアなLa route読者の方たちに響くものがあれば。
12月2日(土)の夜には、主宰する女子サイクリング特化ポッドキャストArenberg "A LA UNE"の公開収録を開催。共同ホストの萩原麻由子さんの独特の語り口が会場を沸かせていました。