本当は自走で行きたかったんです。
なんたって荒川沿いの、秋ヶ瀬公園のすぐ近く。自転車的ロケーションは最高。
しかし灰色の雲からときおり雨粒が落ちる空模様。
仕方なくクルマで行ってきました。「SAN-ESU BASE 羽根倉通り」。様々な製品の卸売やオリジナルパーツの企画開発を行う東京サンエスがオープンした施設です。

当日は生憎の曇天でしたが、晴れていると窓からは荒サイと青空しか見えないという絶好のロケーション。

「SAN-ESU BASE 羽根倉通り」とは一体なんなのか。
一言で言うのは難しいんですが、1階と3~4階に事務所などが入る施設で、御徒町本社と並ぶ、東京サンエスのもう一つの拠点となる場所です。

その2階に入っているのが、ソフトクリーム店「KURU」。

……ちょっと意味分かんないですよね?
なぜ東京サンエスのオフィスにソフトクリーム屋さんが?

関係者向けのプレオープンイベントに呼んでいただいたので、謎を解明しに行ってきました。
なぜか「東京自転車製造卸協同組合」と書いてあるレトロな内扉を開けると(理由は下の写真のキャプションを参照のこと)、ソフトクリームやドリンクを販売するカウンターがあり、中から「トッピングはどれにしますかー?」という元気な声が飛んできました。

声の主の顔をよく見ると、なんと坂井美紀さんではないですか。東京サンエスの三代目社長です。
さらに深まる謎。
なんで社長がエプロン付けてここでソフトクリーム巻いてるのか……。

KURUの店主でもある坂井美紀さん。入り口には、歴史を感じさせる昭和レトロな内扉が。これは2020年3月まで御徒町の東京サンエス本社の近くにあった東京自転車製造卸協同組合から譲り受けたもの。「二代目社長である私の父もお世話になっていた組合の扉を引き継がせていただき、KURUの内扉として蘇らせました」。

いろいろ分からなすぎるのでお話を聞いてみました。
浅草橋にあった東京サンエスの施設が老朽化したため新しい場所を探していたところ、荒川沿いのここにいい物件を見つけたそう。かつては名門「東京音楽大学」の寮だった建物でした。それをフルリノベーションして、オフィスにしたとのこと。

なんでソフトクリーム屋さん? の答えですが、「まず、私がソフトクリーム好きだから(笑)。代理店業をしていると、実際にユーザーさんと交流できる機会はサイクルモードくらいしかないんです。もっとたくさんサイクリストの方々と言葉を交わして、自転車を楽しんでいる姿を見たいと思ってこの場を作りました」とのこと。だからKURUが開店する日は社長自らカウンターに立ってソフトクリームを巻くそうです。「近所に住まわれている非サイクリストの方々とサイクリストとの交流の場になればいいなとも思ってるんです」。

個性的なトッピングは、東京サンエスが展開するオリジナルブランドのイメージを味に落とし込んだもの。最初はKURUって既存のソフトクリーム屋さんだと思ってましたが、店名からロゴまで全部坂井社長のオリジナル。夏は乳脂肪分の少ないものを選んでさっぱり食べられるような舌ざわりにしているのだとか。開店するのは基本的に土日で、営業時間は10:00~16:00。
2階の飲食スペース。かなり広いので、各種イベントなどにも活用できそう。
飲食スペースの隣には東京サンエスのオリジナル製品がずらりと並ぶ展示室が。壁一面のハンドルは圧巻。ハンドルは手にすることができるだけでなく、奥のスペースでバイクに取り付け、レバーを装着し、握ってみることも可能だそうです。
坂井社長と一緒にこの「SAN-ESU BASE 羽根倉通り」を作り上げたのは、「スージーステム開発ストーリー」でお話を伺った東京サンエスの上司辰治さん。「この展示室には弊社オリジナルパーツの約85%くらいを揃えました」。

住所やアクセス、開店日などの情報はこちらを。

坂井社長のサイクリストの方々との触れ合いは、今後のサンエスの製品作りに活かされることでしょう。
ちなみに、「SAN-ESU BASE 羽根倉通り」の3階には、オリジナルパーツの開発・試作を行うラボもあります。

2階のKURUでアイディアが生まれ、3階のラボでそれが形になる、と。人々の触れ合いの場でもあり、ものづくりの拠点でもある、荒川サイクリングロードに誕生した新たな自転車スポット。今度こそ自走で行きます。

(安井)

※住所は埼玉県志木市上宗岡3-12-10。KURUの最新情報はTwitterをご覧ください。