視点を変えれば機材選びも変わる
「どのホイールが速く走れるのか」ではなく、「どのホイールを後世に残すべきか」「どんなホイールと共に自転車人生を生きたいか」というテーマで行った“人生最後に選びたいリムブレーキ用ホイール”。視点を変えれば結果も変わる。我ながら、そこが面白かった試乗でした。
本文中でははっきりとは言っていないので、この編集後記にて、僕が選ぶ「最後のリムブレーキ用ホイール」を具体的に挙げてみます。
まずは、やっぱりボーラ。
・ボーラウルトラ50チューブラー
・ボーラウルトラ50クリンチャー
の2本。個人的にはナロー時代の
・ボーラウルトラツー
も残しておきたいですね。文化遺産として。
あとはアルミリムの
・シャマルウルトラ
・ニュートロンウルトラ
ニュートロンはもうなくなってしまいましたが、名作万能ホイールでした。スキンサイドのタイヤ履かせたらバイクの立ち姿がシャンとします。実は1セット持ってます。
次はマヴィック。
・R-シス
やっぱりこれでしょう。どの世代でもOKですが、個人的にはシルバーのリムにイエローのニップルという狂ったカラーリングの初代が好きです。実は1セット持ってます。
ライトウェイトも外せない。
企画中では現行G4世代のギップフェルシュトルムに乗ってますが、
・スタンダードG3チューブラー
・ヴァントゥーG3
残すならG3世代のこの2本。
「昔は、ライトウェイトのホイールの購入者はプロかそれに準ずる人たちだった。彼らはバイクの扱い方を知っている。だから多少扱いづらくても、軽さを重視した作りでも、問題なかった。でも今は違う。ライトウェイトの顧客に、上層階級の一般ライダーが加わった。彼らのためには安全性を重視しなければならない。だからG4世代では、リムの積層を増やして(G3:片面4層→G4:片面5層)、わずかな重量と引き換えに耐熱性と制動性能を上げたんだ」
これは以前インタビューしたライトウェイト本社プロダクトマネージャーの弁。時代は変わった。そういうことです。とはいえG4でもライトウェイトはライトウェイトなんですけどね。
実は、個人的に「最後のリムブレーキ用ホイール」にしようと思って買ってあるホイールがあります。フルクラム・レーシングスピード35XLRチューブラー。分かりやすく言えばナロー時代のボーラ35ウルトラのフルクラム版。
35mmハイトチューブラーリムの軽さ、ナローリムのしなやかさ、2to1スポークパターンの鋭さ。この3つのバランスが素晴らしいんです。まだ一度もタイヤを貼ったことがない新品。本当にリムブレーキ用ホイールが入手できなくなったら、これにヴィットリアのチューブラーを貼って大切に乗ろうと思ってます。
(安井行生)
