高岡さんと僕の出会い
めちゃくちゃ忙しいはずなのにストイックにトレーニングを積み重ね、おきなわを何度も勝ってしまうという、そのバイタリティ・精神力・行動力は、もうスーパーマンのレベル。走りたいと思ったときに走りたいところにしか走りに行かないという、ズボラに怠惰を重ねたような僕からすると、もう完全に別世界の人。
そんな高岡さんに初めてお会いしたのは、なるしまフレンドのメカニック、小畑さんの結婚パーティーの会場でした。確か2012年の冬。「インプレ、いつも読んでますよ」と、高岡さんから声をかけてくださいました。高岡さんはすでに超有名人で、僕もずっとブログを読んでいたので、嬉しかったですねぇ。同じタイム好きとして勝手にシンパシーを感じたりもしてましたし。
あれっと思ったのは今年のこと。「高岡が退職してショップをやるらしいですよ」と吉本さんから聞いたときです。誰に聞いても「自転車が売れない」というボヤきしか出てこないこの時期に、なぜあの高岡さんがショップを……?
それまでは、生き方として理解しやすかったんです。「レースで勝ちたい」という欲望は、シンプルでストレートで分かりやすいものですから。でも、外資系金融機関勤務というエリートビジネスマンだった人が、なぜ退職してリスクのあるショップを開くのか。一気に分からなくなりました。あの人は何を考えているのか。どこを目指しているのか。
だから、RX BIKEの開店当日にお店に行き、久しぶりにお会いした高岡さんご本人に「インタビューさせてほしい」とお願いしました。インタビュアーは僕ではなく、青年時代から交流があり、昔のレース事情にも詳しい吉本さんにお願いしました。
面白かったのは、取材後、吉本さんとタイトルについて相談していたとき。
取材には僕も同行していたのですが、お話をお聞きしながら感じたことは、「クールなのに熱い人だ、冷静なのに情熱的なんだ」ということ。それをタイトルで表現できないか……と考えていたところ、吉本さんから「冷静と情熱の間に……はどうでしょう?」と提案がありました。全く同じことを考えてたわけです。
もちろん有名な恋愛小説のタイトルから頂戴したアイディアですが、高岡さんにぴったりだと思って採用しました。
(安井行生)
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