先日、都内で開催されたフタバ商店の展示会に行ってきました。

フタバ商店といえば、BMCをはじめ、ヴィジョンFSAゼファールフォースといったパーツ・アクセサリーブランドを取り扱う輸入代理店。今回の展示会では、各ブランドのイチオシ商品が一堂に集まりました。

エントランスを入って、まず出迎えてくれたのはBMCのバイクたち。
「日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー2021」の10ベストバイクにノミネートされ、La routeでも試乗記を掲載したチームマシーンSLR01を筆頭に、エンデュランス向けのロードマシーンや、マウンテンバイクのツーストロークといった各シリーズが並びます。今年はモデルチェンジはありませんでしたが、チームマシーンSLR01モッドの2023年カラーが展示されていました。

カーボン&ホワイト(写真左)とオールレッド&ブラック。どちらもフレームセット(ハンドル・ステム付き)で946,000円。価格は同じながら、ファビアン・カンチェラーラがオーナーを務めるスイス籍のチューダー・ブロサイクリングチームに供給されているカーボン&ホワイトには、チェーンステーとフロントフォークにもBMCのロゴが入っています。この状態で間近で見ると、あらためて直線やエッジを生かしたBMCならではのフレームワークがよく分かりました(カッコいい…)。

ちなみに事務所に戻り、展示会でいただいた資料を眺めていると……

BMCのラインナップの中に気になるブラックボックスが。下には小さく「Kaius 01 Threeに関しましては、情報解禁前となりますので、後日発表となります」とありましたが…

9月7日早朝、ブラックボックスとなっていた「カイウス01」が発表されました。グラベルレースで勝つことを目的に設計された新型グラベルバイクです。日本ではスラムのライバルAXSがアッセンブルされる「スリー」というグレードのみ販売されるとのこと。サイズは47、51、54のみで、値段は101万2,000円と余裕の100万超えです。なおこの展示会資料には、他にもいくつかブラックボックスが確認できました。近々BMCからニューモデルの追加が発表されるかもしれません。

さて展示会に戻りましょう。今回の目玉のひとつになっていたのが、来春からフタバ商店での取扱いがスタートする台湾のスチールバイク専門ブランドVELOCIです。

読みは「ヴェローチ」。聞けば従業員5名ほどという小さなブランドで、小ささゆえの小回りを生かして“自分たちが乗りたいバイク”を忠実にカタチにするのが得意なのだそう。ちなみに設計とデザインは自社で、製造は台湾国内に外注しているとのこと。

主力モデルにあたるのはこの「ジミー」。45Cのタイヤまで装着可能なグラベルロードです。ダボ穴の数からもわかる通り、台湾一周のような荷物を積載したロングライドを想定した一台で、価格はフレーム&フォークのセットで210,760円(予価)。個人的にはフラットバーハンドルでも付けて、気楽にオン/オフロードを流すのもアリかななんて思ったり。

他にも、ロードバイクタイプの「ロードプラス」205,370円、ピストタイプの「オールドストリート」131,780円(共にフレームセット、予価)など全6種のフレームをラインナップ。ちなみに、ブランドオリジナルのヘッドセットやシートクランプなども豊富なカラーバリエーションで揃えているそう。自分好みの遊べるバイクをお求めなら、ヴェローチは要注目です。

続いて、個人的な興味もあってチェックしたのは、チェコの総合パーツメーカー、フォース。

こちらのヘルメット「リンクス」は、UCIワールドチームのアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベール・マテリオが使用しているモデル。展示会の2日前に行われたブエルタ・ア・エスパーニャ第9ステージで同チームのルイス・メインチェスが勝利したこともあり、担当者は「おかげさまで宣伝がしやすいです」とニンマリ顔でした。

僕は以前からフォースのウェアが気になっていたのですが、今回初めて実物に触れることができました。こちらの「チャーム」というモデルは、脇と背中にベンチレーションがあり、生地の伸縮性もいい感じ。で、価格は13,200円とかなりお手頃。カラバリはアーミー(カーキ)、グレー、ボルドーと“大人な色味”の3色展開で、コーディネートもしやすそう。長袖もあったので、これからの季節に向けて真剣に購入を検討しようと思います。

最後に紹介したいのが、2007年にイタリアで設立された工具・ケミカルメーカーのエフェットマリポサ

ケミカルメーカーなのですが、自然由来の成分を使った自転車にも環境にもやさしいアイテムを多数揃えています。中でも注目はシーラント剤です。

右が「カフェラテックス」(1,000ml、4,070円)。こちらはアンモニアフリーで、リムやタイヤを傷める恐れのある成分を使っていません。また、注入して遠心分離させると、泡状になるのも特徴。泡でタイヤの内側全体を埋めてくれるので、サイドカットに対しても有効性が高いのだそう。

そして左の「ヴェジタレックス」(1,000ml、4,114円)は、100%生分解性素材で作られているというシーラント剤。ラテックスの代わりに、細かく粉砕されたオリーブの粒子とセルロース繊維でシーリングするのだそう。そのうえ、通常のシーラントでは2〜3ヶ月ごとの交換が推奨されていますが、ヴェジタレックスなら6ヶ月も効果が持続。さらに成分が自然由来なので、古くなったシーラントの除去も石鹸水とウェスだけで行えて、水道にも流せてしまうんだとか。
このヴェジタレックス。チューブレスタイヤの運用に煩雑さを感じているユーザーの福音になる…かもしれません。

さてバイク、フレーム、パーツ、工具、ウェア……担当者さんとお話ししながら場内を巡っていたら、いつのまにか3時間以上が経過していました。それだけボリュームのある展示会だったわけですが、ことバイクに関しては相変わらずのパーツの供給不足もあり、完成車の状態で何台も展示するにはひと苦労だったそう。

そうした中で、実物に触れて、見れて、知れる機会というのはありがたいもの。個人的に気になったアイテムもたくさん見つけられたので、仕事の合間を見ながら、いただいたカタログやHPとにらめっこしようと思います。

(高山)