僕は神保正彦さんと長谷部雅幸さんにインタビューして、胸がいっぱいになりました。おふたりのメインカットを撮影しているときなんて、涙がこぼれる寸前まで感極まっていました。

久しぶりの出張取材の最終日で疲れていたのかな。
それか展示を存分に楽しんで変なテンションになっていただけかも。
そんなふうに東京へ帰る車の中で考えていました。

今でも、僕がおふたりを前に感極まった理由は正確に説明できません。でもあえて、失礼、無礼、不躾を承知で例えるなら、夏休みに田舎のおじいちゃんに会いに行ったときの感覚に近いかもしれません。

東京ではできない体験をたくさんさせてくれた。
いろいろなところに連れて行ってくれた。
おいしいものをたくさん用意してくれた。
いつだってやさしいし、頼りになった。
たまに話してくれる昔話で「じいちゃん、すげー」ってなった。

来年の夏も、またいっしょに遊んでくれるかな。そのときも元気に会えるかな。

…神保さん、長谷部さん、すみません。
ノスタルジックな妄想が膨らみすぎました。

不思議なんですが、おふたりから聞く自転車の話や機材開発のエピソードは、どれも人間の体温を感じるものばかり。無機質な機械の話をしている感じがしないんです。おそらく自転車への愛と、それを操る人間へのやさしさが詰まっているからだと思います。だからどの話も面白いし、ストンと腑に落ちる。

博物館についてインタビューをしながら、もっといろんなことを聞きたい、聞かないといけないという強い気持ちに駆られていました。とはいえ、東京と大阪という距離がありますし、おふたりもたいへんお忙しい。そんなこんなで、次いつ会えるのだろうかという不安や寂しさを勝手に抱いてしまい、感極まってしまったのだろうと推測します。

2人のシマノレジェンドへのインタビュー、本当にいつか実現させたいな。

(高山)