戸田。みなさん、この土地の読み方わかりますか?
「とだ」ではなく「へだ」と読みます。

静岡県沼津市にあるこの町は、四方を山と海に囲まれた風光明媚な土地。しかし東京から向かうにも大きな鉄道の駅は近くになく、またクルマでも修善寺からつづら折りの峠道を延々走る以外に辿り着くことができないという、ややアクセスに難ありの「陸の孤島」なのです。

そんな知る人ぞ知る戸田の美しい山々と海を望む絶景を、eバイクというツールを使って気軽に堪能してもらおうと企画されたのが、「オーシャンビューとパワースポットを巡るサイクリングツアー in 沼津市戸田」です。

企画したのは「伊豆をサイクリングの聖地に」をコンセプトに様々な事業を手がける「美しい伊豆創造センター」、旅行会社大手の「エイチ・アイ・エス」、そして「道の駅 伊豆のへそ」に自転車体験施設「MERIDA X BASE」を構えるメリダ。eバイクを活用することで、伊豆の豊かな自然・景観をより楽しめる旅を提供しようと、地域と民間企業が一体となってツアーを推進しています。
そしてこのたびメディアや関係者向けのモニターツアーが開催されるということで、La routeチームもひと足早くeバイクとめぐる絶景の旅を体験させてもらえることになったのです。

ここでは旅の行程もお届けしつつ……裏テーマとして、ロードバイクツーリングやシクロクロスはそこそこやっている三宗が、初めて乗るeバイクに何を感じたのかもお伝えできればと思っています。

さてツアーの始まりは、編集部から戸田への移動。10時30分の現地集合時間に対して、早朝5時30分にスタッフの高山と合流。まずは東名高速道路で修善寺まで、そこからは下道で戸田を目指します。このルートだとひと山越えてのアクセスになるのですが、先述のとおり、その道は急カーブの連続。さらに途中で霧まで出てきて視界不良に……。やっとのことで集合場所となる「道の駅 くるら戸田」にたどり着いたのでした。

ツアーの集合場所となった「道の駅 くるら戸田」。ここでは戸田地域のお土産が販売されているほか、特産の深海魚を使った軽食を味わうことができます。温泉施設も備えているので、ライド終わりにゆっくり汗を流すことも。

集合時間の少し前に「道の駅 くるら戸田」の駐車場に着くと、メリダのバンを発見。今回お借りするeバイクとツアー関係者のみなさんが見えます。

早速ここで今回のツアーの発起人である、「美しい伊豆創造センター」の渡邊恵紀さんをはじめ、ライドを先導・案内してくれる「MERIDA X BASE」の村井杏寿沙さんなど、今回お世話になる方々とご挨拶。

三宗と談笑する「美しい伊豆創造センター」観光・地域振興部主任の渡邊恵紀さん。立ち寄る各スポットで、その魅力や見どころを熱心に教えてくれました。
ツアーの全行程を先導してくれるMERIDA X BASEアドバイザーの村井杏寿沙さん。自転車に乗り慣れていない人でも安心して参加できます。

その流れで、渡邊さんに今回のツアーを企画したきっかけを伺ってみました。

「まずは伊豆をもっと自転車で盛り上げたいという想いからですね。その中でも戸田は海も山も近くて、程よい距離の中に楽しめる場所がたくさんあるんです。それだけに、交通の便が悪いというのがもったいなくて。そこで今回、行きは三島駅から、帰りは修善寺駅への送迎をセットにしました。昼はeバイクライドを満喫してもらい、そのあと修善寺で一泊して帰っていただく、という楽しみ方も提案できればと考えています」

渡邊さんのお話を聞いていると、一台のワンボックスタクシーが到着。今回私たちはクルマで直接集合場所に来ましたが、他の参加者は三島駅からの送迎を利用してモニターツアーに参加しています。

これでツアー参加者が揃いました。実際にライドをするのは、La routeチーム(三宗・高山)を含めて計5名。今回は絶景とパワースポットをめぐるということで、女性の参加者も2名いらっしゃいました。

そのうちのひとりが今回の特別ゲストで沼津市をPRする「燦々さんさんぬまづ大使」も務める、モデル・女優の藤木由貴さんです。藤木さんもeバイクに乗るのはこの日が初めてとのことでしたが、参加者ひとりひとりと気さくにコミュニケーションをとりながら、最後までツアーを盛り上げてくれました。

沼津市を盛り上げる「燦々ぬまづ大使」を務めるモデル・女優の藤木由貴さん。カメラを向けさせていただくとこの通り。藤木さんの参加でこのツアーが一気に華やぎました。

さて、今回僕が乗ることになったeバイクはこちら。
ミヤタ クルーズ i 6180」。ありがたいことに、ミヤタクルーズシリーズの最新・最上級モデルに乗せてもらえることになりました。

ドライブユニット「シマノ ステップス E6180」を搭載するパワフルなモデル。バッテリーはダウンチューブに内臓され、バイク全体の低重心化にも貢献しています。価格は374,000円。写真のマットブラック/マットグレー以外に、マットブラック/マットホワイトもあり。

全員でeバイクの操作方法のレクチャーを受け、シートポジションを合わせ、軽い自己紹介タイムを経て、時間はきっかり11時。メリダ村井さんの先導でいよいよツアーに出発です。

いざペダルをひと漕ぎ……もう、のっけからモーターのアシスト感に顔がニヤついてしまった僕。

今これを書きながら思い出したのですが、以前電動アシスト付きの“ママチャリ”に乗ったことはありました。でもこのバイクはちょっと違います。

アシスト速度は24km/hまでというシステム上の制限があるものの、ママチャリより車重が軽いせいか、スピードの乗り方には明らかな差が感じられました。

そんなことを考えながらペダルを漕いでいるうちに、あっという間に最初のビューポイント「出逢い岬」に到着。思えば道中はけっこうな激坂だったのですが、もっともアシストが強い「HIGHモード」のおかげで、汗ひとつかかずに上り切ることができました。(実際は汗ダラダラでしたが、それはあくまで日差しのせい)。

スタート早々いきなり激坂!10%を超える勾配だったのですが……eバイクなら余裕!

ここでちょっとしたハプニングが発生。
ツアー一行から遅れること数分、なぜか高山が電動アシストのないクロスバイクでひぃひぃ言いながら出会い岬まで上って来ました。
聞くと、クロスバイクでライドに同行していた主催スタッフのひとりが、坂の途中でダウン。そこで高山が乗っていたeバイクを差し出し、クロスバイクと交換したとのこと。
「eバイクのレビューは三宗に任せた」と言い残し、これ以降、高山はひとりペダルバイクで全行程を走破することになったのでした。

出会い岬から駿河湾を眺める。「あそこは興津あたりかな〜」

さて、出会い岬からの眺望を楽しんだあとは、一路、戸田の港沿いにある食堂「魚清」へ向かいます。そこには新鮮な海の幸が堪能できるランチが待っているのだとか。

先ほどの激坂を気持ちよく下りながら、お腹を空かせて「魚清」の暖簾をくぐると、早速戸田の名物がお出迎え。その名物とはタカアシガニ! 店内のど真ん中にある大きな生簀で、これまた大きなタカアシガニが何匹も折り重なって泳いでいる姿は圧巻でした……。

いまにも生簀から出てきそうなタカアシガニたち。注文したらここから連れていかれるのかな……。

タカアシガニも食べてみたかったのですが、今回はおすすめだという「刺身定食」(1,500円)を注文。刺身の新鮮さは言うまでもないのですが、衝撃的だったのはみそ汁のおいしさ。お椀にエビが1匹入っていて、魚介のダシが濃厚に香る一杯。ひと口すすって思わず「うまっ」っと声を漏らすと、美しい伊豆創造センターの渡邉さんがニヤリ。

「ツアーの昼食については悩みましたが、このみそ汁を飲んだ瞬間、『魚清』さんにしようと即決しましたね(笑)」。

ランチの影の主役だったのがみそ汁。エビが一匹入っています。今思い出しても……ゴクリ。ちなみにこの写真は高山が注文した「あじマグロ定食」(1,500円)。この値段でこの鮮度とボリュームはお得すぎます!

絶品定食でお腹もパンパンになったところで、午後のライドがスタート。
次の目的地は、魚清から約6km、250mアップの先にある絶景スポット「碧の丘」です。

実はここまで僕は、モーターアシストが一番効く「HIGHモード」で走ってきました。これだけのアシスト力だと、さすがにあっという間にバッテリーがなくなるだろうと思っていたのですが、その様子は一向にありません。

ハンドルバーについている画面を操作すると、ECO、NORMAL、HIGHの各モードで走れる残り距離が表示されるのですが、HIGHモードでも依然として60km以上は走れる状態。これなら、ツアー中はバッテリー残量を気にする必要はなさそうです。

そんなHIGHモードでモーターを唸らせ、今回一番のロングクライムを進みます。通常なら足にかなりの負荷がかかりそうな上り坂。でもeバイクのアシストのおかげで、自転車に乗り慣れない藤木さんも、村井さんと談笑しながら余裕で碧の丘まで走られていました。

南へ伸びる伊豆半島。奥に見えるのは西伊豆町。

これが碧の丘からの景色です。伊豆半島の海岸線が南へと続き、緑深く隆起している山々とは対照的に、平らで真っ青な海が遥か遠くまで広がります。

ハートがあしらわれた石畳を発見。高山の指示で、きれいな海をバックにハートポーズを取らされる三宗...。

碧の丘までの道のりで、ほぼアップヒルは終了。ここからは来た道を引き返してのご褒美ダウンヒルです。

今回乗ったeバイクは油圧ディスクブレーキに太めのタイヤを装着していたため、快適に下ることができました。ここでもう少しこのバイクのポテンシャルを探ろうと、村井さんにお許しをいただいて、隊列を離れて少し踏んでみました。

このとき一点気になったこと、それは車重の重さです。下り勾配でブレーキを離したときの加速感で、それをモロに感じます。ブレーキは油圧なのでグングン伸びるスピードも余裕で抑え込むことはできます。ただ普段のロードバイクの感覚でコーナーに突っ込もうとすると、進入前に適切な速度まで落としきれず、コーナリング中もブレーキをかけ続けるという場面がありました。こんなガチテストをしているのは、今回のツアーで僕だけでしたが……。

そんな気持ちのいいダウンヒルの終盤には、このツアーのもうひとつの目玉スポットが用意されていました。それが「海のほてる いさば」。全室オーシャンビューにして1泊5万円〜という高級ホテルで、贅沢なデザートタイムです!

駿河湾が望める広間に案内され、フレッシュなフルーツと戸田塩を使ったジェラートに舌鼓……。まさしく至福の時間でした。

色とりどりのフルーツ。そして手前にあるのは特産の戸田塩を使ったジェラート。このあまじょっぱさが運動のあとのカラダに染みわたります。

あっという間だった今回のツアー、最後に訪れたのは諸口神社。湾に突き出た岬の突端にある、戸田を象徴するようなパワースポットです。海水浴客も多い場所なのですが、鳥居のまわりだけは不思議と静か。その静謐な雰囲気に心が洗われました。

エメラルドグリーンの海に向かってそびえる立派な鳥居。周辺は海水浴場となっていて、暑かったこの日もたくさんの人で賑わっていました。

さあ、あとはもう来た道を戻るのみ。傾いていく陽になんとなく名残惜しさを感じながら、再び海沿いの道を走ります。17時00分、「道の駅 くるら戸田」に全員が無事に到着し、今回のツアーは終了。僕自身もeバイクの快適さとともに、戸田の魅力を存分に楽しめた一日でした。

ちなみに、参加された女性陣にeバイクについて印象を伺うと、「背中を押されているような感覚が味わえました」という電動アシストならではの感覚への驚きや、「これに乗れば今までは行けなかったような場所にも行きたくなりますね」など、旅の新たな可能性の広がりを歓迎する声が聞かれました。

一方、普段からスポーツサイクルに乗っている僕は、ペダルバイクと電動アシスト車のフィーリングを比較しながら、「これだけ踏むとアシストが始まって……ここで変速するとアシストの効率がいいかも……」といった具合に、eバイクの機材としての面白さを探るように走ってみたりもしました。噂には聞いていたのですが、どうやらeバイクにはeバイクなりの走らせ方があるようで。近々再びeバイクに乗る機会がありそうなので、そのときにはさらに深いeバイクの真髄を探ろうと思います。

最後に今回のツアーですが、一般向けには9月3日(土)、11月3日(木・祝)、12月3日(土)に開催されます。興味を持たれた方は、エイチ・アイ・エスのこちらのサイトにぜひアクセスしてみてください。

(三宗)

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