5月21日(日)、北海道の倶知安町で開催されたニセコグラベルこと「PANARACER NISEKO GRAVEL 2023 SPRING RIDE」に安井とともに行ってきました。イベントレポートは後日お届けするとして、La routeチームは地方に行くと必ず地元ショップに足を運んだり、+アルファでサイクリングを楽しんだりしています。

今回は事前に「第二の地元」というほど北海道を愛してやまないフォトグラファーの田辺信彦さんにおすすめ情報をヒアリング。その甲斐あってわずかな期間の北海道滞在がかなり濃厚な時間になりました。田辺さん、改めてありがとうございました。

さて、1つ1つを書きだしたらキリがないのですが、今日はそのなかで不思議な出会い(?)がありました。

「北海道にいくならここは絶対に足を運ぶべき!」と田辺さんが猛プッシュしてくれたうちのひとつが、こちらのサムズバイクです。MTB、ダート系、BMX系では日本有数の老舗で、飾ってあるバイクは博物館級とのこと。僕も名前だけは知っていましたが、訪れるのはこのときが初めて。

自転車のほかにウェアやパーツなどの品揃えも豊富。
店内は2つにわかれており、奥にはメカニックスペースが。
天井を見上げると日本に1台しかないというキャノンデールのタンデムバイクが。油圧仕様のリムブレーキ、初めて現物を見ました。こちらは現在も販売中でお値段45万円なり。僕が石油王だったら間違いなく買ってました(笑)。
……!!! マングースのフレーム、シマノのバイオペース(楕円チェーンリング)にテンションディスク…。もう突っ込みどころがありすぎて…眼福です。
ほかにもレアなパーツやMTBがあちこちに。田辺さんが博物館級という意味がよくわかります。気になる方はぜひお店に足を運んでみてください。
田辺さんの作品も飾られており、各写真集も販売しています。

サムズバイクは東京の名店、BMX RIOで腕を磨いたサムさんが1993年に立ち上げたお店です。

「店内にあるレアな自転車やパーツは、旦那が博物館的なことをいつかやりたいと思っていたからなんですよ」

そう話してくれたのはサムさんの奥さんで、現オーナーのナミさんこと松浦奈美さん。聞けばサムさんは7年前に倒れてしまい、突如として帰らぬ人になってしまったとのこと。その後、色んな葛藤があったのは想像に難くないですが、彼女はサムさんの意思を受け継ぎ、店長の皿井 健さんとお二人でお店を切り盛りされています。

「気が付けば私がこのお店の一番の古株になっちゃいましたね~」

サムさんが初めて渡米したときのこと、お店のこと、自転車のこと、北海道のこと。ナミさんのトークとお店の雰囲気が心地よくて、気が付けば1時間以上もの間いろんな話を聞かせていただきました。ナミさん、お忙しい中ご対応いただきありがとうございました。

帰り際、「そういえばうちの旦那のブログとかが残っているんで、よかったら見てみてください。ホームページの上にある「room36」というところから飛べるので」とナミさん。

ホテルに戻ってさあ寝るかというタイミングで、ふとナミさんの帰り際の発言を思い出した僕。スマホでサムズバイクのサイトにある「room36」をぼんやりと見ていたら、2016年2月19日の投稿に目が留まりました。書かれたのはもちろんサムさんです。

 

“私は1979年から1991年までの12年余りを東京で過ごしました。

最後の3年余りは、修行の身でありながらBMX RIOの店長を務めさせていただき、その後札幌へ帰郷しサムズバイクをオープンしました。

今回の旅は珍しく時間に余裕があったので、自分の所縁の地を訪ねてみる事にしました。

先ずは8年住んでいた街の様子を見に行きました。駅で言えば小田急線の和泉多摩川駅です!”

え…?
小田急線の和泉多摩川駅…!?

ご存知の読者の方もいらっしゃるかもしれませんが小田急線の和泉多摩川駅は、La routeオフィスの最寄り駅で、なんなら文中に出てくる八百屋さんと同じビルに入居しているんです。

せっかくなのでブログ内にある写真と同じ画角で写真を撮ってきました。
人の通れない細い路地…ここですね。地元の人しかわからないところです。
サムさんが住んでいた昭和の古民家があったであろう場所は空き地になっていました。取り壊されてしまったんでしょうね。

サムさんとは一度もお会いしたことはありませんが、まさか和泉多摩川駅に長らく住んでいらっしゃったとは。

ここに事務所を構えるようになったのは2016年1月。サムさんのブログは2016年2月16日とあるので、もしかしたらどこかですれ違っていた可能性もゼロではありません。

なんならBMX RIOには何度か足を運んだことがありますし、サムさんはバンドもお好きだったようなので(僕も下手ですがギター弾いてます)、もしどこかで会うことがあったらきっと色んなお話ができたのだろうなぁと想像します。

僕の大好きな漫画『ブラックジャック』の一節に「人生とは人と人とのかかわりあいなのだ」といった記述があるんですが、今回の一件も点と点が線になるような、そんな不思議なご縁を感じたのでした。

(栗山)