いま、ロード乗りのなかでホットな話題のひとつが、パナレーサーから発売されたロードタイヤ「AGILEST」ではないでしょうか。先日、開発者プレゼンテーション+メディア体験ツアー@伊豆にお声がけいただいたのでLa routeチームも参加してきました。

集合場所は伊豆マリオットホテル修善寺。駐車場の一角でプレゼンテーションは行われました。なぜか安井は「気を付け!」の姿勢(笑)。
商品のプレゼンターはマーケティンググループの主事、髙橋 諭さん。

プレゼンテーションならびに質疑応答の内容は、○○が××で▲▲が■■で…めちゃくちゃ書きたいことが盛りだくさんだったんですが、後日しっかりとした記事にするのでここでは割愛。モゴモゴモゴ。

写真左からマーケティング係の三上勇輝さん、代表取締役の大和竜一さん、前述の髙橋さん、そして技術・開発グループの佐藤優人さん。
商品のプレゼンテーション後は、社長ふくめ開発チームのみなさんとライドスタート。舞台となるのは西伊豆で、西伊豆スカイラインを中心に距離45km、獲得標高1,040mのコース。ちなみに髙橋さんがまたがるサーヴェロのR5は…社用車だそう…!
コース設定やライドサポートしてくれたのは、「ライドエクスペリエンス」の皆様。拠点は栃木の那須塩原にあり、自転車旅を楽しむための宿やルートを紹介する「サイクリストウェルカム.jp」も運営されています。
ツアーにはおなじみハシケンさんも参加。ゆるゆると上りスタート。
メディアとメーカー。立場は異なれど自転車はやはり共通言語。サドルの上だと自然と会話も弾みますね。
ここからさらに上りが厳しくなり、絶景の西伊豆スカイラインがスタートします。
キャニオンのエアロードで参加した三上さんと佐藤さんはラファのウェアで統一。この二人、速いです(笑)。
「撮影担当」という名目でおいしいところだけ走らせていただきました(笑)。チラリと写っている自転車は……そのうち記事にする予定。
絶景かな。
富士山が顔を出してくれたところで記念撮影。ハンドサインでパナレーサーの「P」を表現。これから流行らせようと思います(©La route)。
ランチはそば処「ささや」にて。わさびまるごと1本がセットになった天ぷらそばはリピート決定の美味さ。
修善寺をお散歩。こんなに風情ある場所だったとは。

絶景だし、ご飯はおいしいし、天気もいいし、ライドエクスペリエンスさんのサポートは素晴らしいし、社長はじめ開発者の皆さんもおしゃべり大好きだし、めちゃくちゃ楽しかったです。いやー、今晩はぐっすり眠れそうです。おしまい。

(栗山)

 

…いやいや本項で書きたかったのは、そんなライドレポートではなく(楽しかったんですが西伊豆の素敵なライドレポは他にもたくさんあるので)、開発者インタビューでもなく(面白い話はたくさんあったんですが後日ガッツリ記事にするので)……最近のパナレーサーについてです。

ここのところ自転車業界の中で「パナレーサーってなんか変わったよね」としばしば話題になっていました。

思い返せば2015年。パナソニックグループの一員であったパナレーサーは、突如として投資ファンドに売却されました。細かな経緯は存じ上げませんが、本体であるパナソニックグループの不振などもあって整理されたと考えるのが普通でしょう。

自転車タイヤに限った話をすれば、このころ…いやその少し前からミシュランやコンチといった海外勢が市場を席捲していた印象があり、パナレーサーの存在感も薄れてきていたように思います。

投資ファンドに売却された後もパナレーサーは存続するわけですが…2021年になると突然CI(Corporate identity)を一新。ロゴを新しくしただけでなく、タグラインも「Life Cycling Partner」にし、おなじみのブルーのコーポレートカラーも紫に。初めて見たときは「めちゃくちゃ攻めてるな」と面食らったのを覚えています。

もともと紫は日本でも高貴な色とされており1聖徳太子が定めた「冠位十二階」の制度において「紫」は最上位の位階を示す色でした。個人的にも好きなカラーですが、この色を採用するには勇気がいったはず。CIなんてコロコロ変えるものじゃないですからね。

今思えば、ここが今に続くパナレーサーのターニングポイントであり、覚悟の表れだったのかもしれません。ちなみに約1年前にこんな動画を公開しています。

 

「コーポレートカラーについて色々と候補はありましたが、これまでのブルーに情熱を感じさせるレッドを足した『紫』でいくことになったんです」

僕のコーポレートカラーについての質問にそう答えてくれたのは、ツアーにも参加していた代表取締役の大和竜一さん。新生パナレーサーを牽引した中心的人物です。これまで積極的ではなかったSNSも、大和さんが代表になってから活用するようになったそうです。

「それまでもSNSはやっていたようですが、投稿ごとに上長の承認が必要だったんです。だから『そんなムダなことはやめよう』と、若い社員が自由に投稿できるようにしました。Twitterもスタートさせいまはスタッフにすべて任せています」

AGILESTのプロモーションもなかなか手の込んだものでした。

1月下旬の展示会で「撮影禁止」前提でやんわりと発表し、2月に入ると宇都宮ブリッツェンの増田成幸選手らを起用したティザー動画などを公開、そして2月22日には満を持して「AGILEST」をローンチ。

発表後もショップやインフルエンサーを巻き込んだキャンペーンをやるなど、かつてのパナレーサーとは思えないほど攻めているんです。その甲斐あってここ数週間、SNSのタイムライン上で「AGILEST」の名前を見ない日はありません。

業界歴が長い安井いわく「パナレーサーがここまで大々的にプロモーションをやるのは初めてだと思う」とのこと。そもそもこのライドツアー(僕らが参加したのはメディア向けですが翌日、翌々日は一般の方向けのツアーも開催。今後も継続していく予定だそう)もパナレーサー初らしく、開発者だけでなく、社長自らが帯同しているのも異例ですからね。

 

パナソニックグループからの離脱、CIの一新、SNSの積極的活用——。きっと社内には反対の声や混乱、目に見えない苦労があったことは容易に想像できます。でも、少なくとも僕らが参加した伊豆ツアーでは、大和さんはじめ開発チームのみなさん自身が楽しんでいるのがこちらにも伝わってきました。

だから冒頭の「パナレーサーってなんか変わったよね」のぼんやりとした「なにか」がこのツアーを通して、輪郭を伴うものに変化していったんです。

「スペックや性能はもちろん大事ですが、そもそもお客様に楽しんでもらうための商品をつくっているのに、私たち自身が楽しまなくてはどうすると」

ライドの休憩中に、大和さんはそんなことをおっしゃっていました。もちろんパナレーサーはメーカーなので商品がよくなければ存在価値はありませんし、モノがよくなければ自転車メディアの端くれとして僕らもちゃんとした評価をします。でも、こんなにも楽しそうな社員がいる会社が、今後どんな商品を生み出すのか、楽しみじゃないですか?

(栗山)

 

 

チューボリートレボループから発売されている軽量なポリウレタンチューブが市場を賑わせていますが、パナレーサーはなんと1986年に「TX-α」という商品名でどこよりも早くポリウレタンチューブを市販していました。かつてのパナレーサーは、業界のイノベーターでもあったのです。

 

 

…さらに追記。この記事を書いている時点で、iRCから新クリンチャータイヤ「ASPITE PRO」がローンチされるとのニュースが。詳細はサイクルモード東京で発表されるようですが、AGILESTとガチンコ勝負になりそうです。