銀輪の思い出
昨日18:00に公開した「アラヤ・マディフォックス物語」、いかがだったでしょうか?
この企画のスタートは「アラヤが発売しているロード用ホイールの取材ができないか」と新家工業にコンタクトをとったのがきっかけ。その話の流れのなかで広報担当の方から、「そういえば弊社の取締役を務めていた内藤常美をご存知ですか? あの方は自転車業界に明るいのでいろんな面白い話が聞けるかもしれません」と言われ、この企画が実現したのです(ちなみに内藤さんは現在もアドバイザーとして新家工業に関わっていらっしゃいます)。
かつて日本の自転車産業が隆盛を極めた時代があったのは、皆さんもご存知だと思います。とはいえ、僕らも業界の先輩方から当時の話を聞くことがある程度で、それがどの程度のものだったかまでは知りません。そもそも僕らがスポーツ自転車に乗るようになったのも、自転車産業の中心が台湾・中国になってからの話なのでリアルタイムではないですしね。だから以前から安井とも「日本の自転車史にまつわる企画をやりたいよね」と話していたんです。
そんな僕らの想いもあって、この企画はとんとん拍子で決まりました。記事の執筆をお願いしてから内藤さんは、原稿内にも出てくる印牧昭治さんにも再び会いに行ってくださり、当時の超貴重な写真や資料を探し出してきてくれたのです(初代マディフォックスの図面が出てきたときはびっくりしました…)。
1982年に誕生した日本初の量産マウンテンバイク、マディフォックス。この記事を通じて、先人たちの功績や足跡が少しでも多くの人に伝わればと思います。
さてマディフォックスを展開している新家工業、実は一度訪問したことがあります。かつて『自転車人』という雑誌で「モノヅクリのソコヂカラ」という工場訪問記を連載していた僕は、リム製造を行っている関西工場を取材したのです。そのとき工場内を案内してくださったのが内藤さんでした。
早いものであれから8年。聞けば、あの関西工場でのリム生産はすでに終わり、国内では石川県にある山中工場でのみ行っているとのこと。大正ロマンを感じさせる瀟洒な建物と、窓からの光ができたばかりの大量の銀輪をキラキラと照らし出しすあのときの光景は、今でも忘れられません。
コロナが落ち着いたら大阪取材ツアーを組んで、改めて内藤さんに会いに行こうと思います。
(栗山)
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