ブレーキ、それはスピードを作るもの

僕らが思い切りペダルを踏みつけてスピードを出そうと思えるのも、あのお気に入りのコーナーに果敢に突っ込んでいこうと思えるのも、いつでも止まれるという安心感があるからだ。ブレーキシステムへの信頼がなければ、そもそもスピードを出そうとすら思えない。

スピードはブレーキが作っている・・・・・・・・・・・・・・・のである。

よくよく考えれば、加速させることに必要な構造の規模と労力に比べ、減速させることのそれは驚くほど簡素だ。例えば40km/hまで加速させるには、12段変速やら複雑なディレーラーやらダンシングやら300Wやらウルトラハイモジュラスカーボンの横剛性やらを総動員して十数秒をかけての大仕事だが、40km/hから停止させるのなんか、リムブレーキにしてもディスクブレーキにしても、指先にほんの少し力を入れるだけでたったの数秒である。これはエネルギー変換装置としてのブレーキシステムの優秀さの証明に他ならない。

その優れたシステムの要となるのが、ディスクブレーキでいうならローターとパッド。今回の取材対象は、そのパッドの作り手であるベスラである。

ベスラ(Vesrah)とはブレーキパッドのブランド名であり、製造元の社名はタカラ株式会社。1950年に創業し、当初はOEM用のブレーキシューを製造していたが、1972年に自社ブランドとしてベスラを立ち上げた。現在はアフターマーケット用の高性能ブレーキパッドのほか、クラッチ部品なども製造している。
ちなみに、ベスラとはベスト・ストップ・ライニングの略。本来ベストの頭文字はBだが、勝利のVを使って、綴りはVesrahとされた。主力商品はオートバイ用のパッドだが、15年ほど前から自転車用パッドをラインナップに加え、ロードバイクのディスクブレーキ化やグラベルロードの隆盛に伴って注目度が高まっている。
本社は新宿、工場は茨城県の笠間市にある。技術的/OEM的な秘匿事項があり工場見学は実現しなかったが、新宿本社にてパッドの開発を担当するお二方にお話を伺うことができた。

 

安井:今回はよろしくお願いします。個人的にベスラのパッドは一通り使っており、制動性能の高さに加え、いずれも扱いやすいことが印象的でした。その点に関しては、他のサードパーティのパッドはもちろん、シマノやDTスイスの製品よりも優れていると感じました。それもあってベスラにお話をお聞きしたいと思った次第です。

福田:ありがとうございます。

下村:よろしくお願いします。

常務取締役の下村 孝さんは2012年入社。パッドの開発・設計から、製品のデザイン、広告やパッケージのグラフィックまで、社内で関わる業務は多岐に渡るマルチプレイヤー。
かつてはオートバイのレーサーとして海外でも走った経験を持つ福田隆夫さん。2004年にタカラ株式会社に入社し、現在は販売部で営業を担当。テストライダーやインストラクター、レーシングチームのライダー兼責任者としても活躍する。

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