男ふたり、西伊豆へ(安井行生編)
年齢も、生まれた場所も、自転車との付き合いかたも、文章のテイストも異なる、安井行生と小俣雄風太。ほぼ赤の他人と言ってもいい彼らの共通言語は「自転車が好き」、ただそれだけだ。彼らが向かった先は、西伊豆。小俣と安井がそれぞれの視点で、それぞれが感じたことをお届けする、極私的なふたりぼっちのツーリング記。
2021.05.10
Mt.富士ヒルクライム20周年 主催者インタビュー
サイクリストの裾野を広げる一助であれ
毎年6月、富士山を舞台に開催されている“富士ヒル”ことMt.富士ヒルクライム。ハイアマチュアからスポーツバイク初心者まで、毎年8,000人以上のサイクリストを集めるこの大規模イベントが、今年で20回目の節目を迎える。そこでLa routeでは、第1回から主催者として大会の企画・運営に携わっている株式会社アールビーズの金城栄一さんと、2015年から運営に参画した山本健一さんにインタビュー。富士スバルラインを使ったサイクルイベントがスタートした経緯から、過去にイベントを襲った想定外のアクシデント、フィニッシャーリングを授与する意味、そしてこの先の富士ヒルの在り方までじっくり語っていただいた。参加する側の視座からは見えてこない、日本を代表するヒルクライムイベントの裏側に迫る。
全身に力が入らない。暑いのか寒いのかよくわからない。
眠気のようなものが襲ってくる。脚を回し続けているのに進んでいる感覚がない。
今回のインタビューに先駆けて、疑似富士ヒルを体験しておこうと上った富士スバルライン。もちろん「Mt.富士ヒルクライム」というイベントのことは既知だったが、自分が出場するのは時期尚早だと思い込み、エントリーをパスし続けてしまっていた。たぶんサイクリスト界隈で、やれブロンズだシルバーだというふうに、完走タイムによって序列がついてしまうことにも違和感があったんだと思う。
意識もぼんやりしてヘロヘロの状態で五合目に達したとき、僕は心の底から安堵した。この日は体調がイマイチだったのかもしれないが、和田峠でも渋峠でも車坂峠でも磐梯吾妻スカイラインでもこんなに心と身体が削られることはなかっただけに、つい冨士山小御嶽神社で手を合わせて、無事の下山を神頼みしてしまった。おかげさまで何事もなくダウンヒルをこなしスバルラインの料金所に戻ってこられたのだが、そのときには五合目で感じた不安から来る安堵とは違い、なぜか「また走りたい」という想いに変わっていた。あれだけ苦しかったのはずなのに。
2004年からスタートしたMt.富士ヒルクライム(以下、富士ヒル)は、世界遺産である霊峰富士を舞台としたサイクルイベント。平均斜度5.2%、獲得標高1,250m、距離24kmにおよぶ富士スバルラインを封鎖し、富士北麓公園から富士山五合目を目指すという、サイクリストであれば知らない者はいない一大イベントである。
否が応でも天候に左右されてしまう屋外イベントでありながら、霊峰の目には見えない力が働いてか、この20年間で「中止」はゼロ。ただしコロナ禍の影響で6月の開催が延期となった2020年大会は、「秋のMt.富士ヒルクライム」として規模を縮小して開催されたため、「第17回」としてはカウントされなかった。ゆえにスタートから21年目を迎える今年、20回記念大会が開催されることとなる。
筆者も自ら富士山を上った体験を通じて、多くのサイクリストが富士ヒルクライムに魅了され、毎年そこを目指さんとする気持ちが分かった気がした。この不思議な誘引力をもったイベントがいかにして生まれ、20年もの歩みを続けてきたのか。その背景を知るために、渋谷区神宮前にある株式会社アールビーズを訪ねた。
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年齢も、生まれた場所も、自転車との付き合いかたも、文章のテイストも異なる、安井行生と小俣雄風太。ほぼ赤の他人と言ってもいい彼らの共通言語は「自転車が好き」、ただそれだけだ。彼らが向かった先は、西伊豆。小俣と安井がそれぞれの視点で、それぞれが感じたことをお届けする、極私的なふたりぼっちのツーリング記。
2021.05.10
年齢も、生まれた場所も、自転車との付き合いかたも文章のテイストも異なる、安井行生と小俣雄風太。ほぼ赤の他人と言ってもいい彼らの共通言語は「自転車が好き」、ただそれだけだ。彼らが向かった先は、西伊豆。小俣と安井がそれぞれの視点で、それぞれが感じたことをお届けする、極私的なふたりぼっちのツーリング記。
2021.05.10
自転車製造のメッカとしておなじみの台湾で、とある自転車イベントが開催された。いや、自転車イベントというよりはサバイバルレースと言った方が正しいかもしれない。花蓮から太魯閣国立公園までの105km、獲得標高3,275mという世界屈指のヒルクライムイベント「台湾KOMチャレンジ」である。ふとしたきっかけでそんな台湾KOMチャレンジに参加することになったのは白石正人、26歳。某外資系メーカーを突如としてリストラになり、大切な祖父を失い、人生のがけっぷちに立たされた彼がサドルの上で見た、標高3,275mの世界とは。
2023.11.27
岐阜県と長野県の県境にある乗鞍。登山、スキー、温泉などの山岳観光地として知られるが、自転車乗りにとっては「ヒルクライムの聖地」である。1986年からはヒルクライム大会が開催され、多くのクライマーが頂上に向けてペダルを踏む。そんな乗鞍の中腹にぽつんと建っている古ぼけた山小屋、冷泉小屋。16年間閉鎖されていたが、今年リニューアルし営業を再開した。かつてはタイムを縮めるために毎年通っていた安井行生が、数年ぶりに乗鞍を訪れ、冷泉小屋に宿泊。かつての安井にとっては“力試しの場”でしかなかった乗鞍は、今、彼に何を語るのか。
2022.10.03
2月11日・12日の2日間にわたって開催された「Champion System × 弱虫ペダル シクロクロス東京」。東京はお台場というキャッチーな場所を舞台に、海外の有力選手が参戦したり、地上波番組でも特集されるなど、国内屈指の華やかなシクロクロスイベントとして定着していたものの、2018年をもって開催中止。しかし今年、そんなシクロクロス東京がついに復活した。そこでLa routeですっかりシクロクロス担当となっている高山が、本イベントの期間中、オーガナイザーとして奔走したチャンピオンシステムジャパン代表の棈木亮二さんに密着。5年ぶりに復活したシクロクロス東京の週末を、棈木さんの声と合わせて振り返っていく。
2023.04.24
日本最南端の佐多岬から、最北端の宗谷岬まで。総距離2,700km、獲得標高約23,000mを一気に走り切る日本縦断ブルべ。それに人生をかけて挑戦した一人の男がいた。とあるイベントでパールイズミの激坂ジャージを着ていたがために“激坂さん”と呼ばれることになった、一人息子と妻と自転車と山を愛するその男は、なぜこのウルトラブルべを走ろうと思ったのか。国内最速でも、ギネス挑戦でもない、普通の自転車乗りによる日本縦断ブルべ参戦記。Vol.1は、参戦を決めた理由と、本番までの苦悩と苦労を綴る。直前になって頻発するトラブル。激坂さん、身を挺してまでネタを作らなくてもよかったんですが……。
2022.08.01
さる10月22日、千葉県九十九里町の片貝中央海岸で日本初となるビーチレース「Beach Cross Crit 99(ビーチクロスクリテ99)」が開催された。本来なら海水浴客やサーファーが主役なはずの砂浜だが、この日だけは秋晴れの真っ青な空の下、マウンテンバイクやグラベルバイクが疾駆した。この新奇な光景を見届ける、いや、身をもって体感するため、オフロードビギナーかつ砂浜の上を一度も走ったことがない栗山晃靖と高山太郎が各人の愛車をビーチ仕様に仕立ててエントリーすることにあいなった。本記事では、そんな2人によるビーチクロス参戦記を、本イベントを手掛けたチャンピオンシステムジャパン代表の棈木亮二さんのインタビューとともにお届けする。
2023.12.25
ここ数年はずいぶんと積極的に動いているホダカのオリジナルブランド、コーダーブルーム。今春、La routeがホダカのキーマン2人にインタビューを行って記事化した際には、「日本ブランドとして海外ブランドにも負けない価格帯にチャレンジしていく」「目標は彼らと同レベルの戦いに踏み込んでいくこと」という発言が飛び出した。インタビューから数カ月、その“チャレンジ”、“目標”が具現化したようなニューモデル、ストラウス プロ レース2が発表された。果たしてその実力は如何に。試乗&開発者インタビューを通して、コーダ―ブルームの真価に迫る。
2023.10.09
グラベルロードを手に入れて、イベントや日々のライドを楽しんでいる安井と栗山の2人。2023年は、日本のグラベルイベントと言えば必ずその名が挙がる「ニセコグラベル」のスプリングライドとオータムライドのどちらにも参加したが、周りを見渡すと絶賛記事しか目につかない。果たして本当のところはどうなのか? La route Talk の第6回は、安井と栗山の2人がニセコグラベル参加を通して感じた課題や、日本のグラベルシーンの行方について語る。対談の最後には、「グラベルはあんまり盛り上がらないほうがいいのかも」などという業界人らしからぬ発言も……。
2023.12.18
カーボンホイールが全盛の時代に新たに登場したアルミホイールが、ロヴァールのアルピニストSLXである。10万円を切る価格、カーボンホイールに引けを取らない軽さ。そして「アルピニスト」という軽量ホイールの絶対的旗印——。安井行生と栗山晃靖が機材や自転車界隈のあれこれについて語り合う「La route Talk」の第4回は、そんなアルピニストSLXがテーマ。インプレッションと過去のアルミリム、カーボンリムを振り返りながら、現代におけるアルミホイールの存在意義を考える。
2023.10.30
2022年5月下旬。ROVALの「アルピニストCLX」と「ラピーデCLX」がそれぞれモデルチェンジをうけ「アルピニストCLXⅡ」、「ラピーデCLXⅡ」として発表された。「チューブレスレディへの対応」が一番のトピックではあるが、重量は増加し見た目は前作から変更なし。グラフィックには「Ⅱ」の文字すらないので、知らない人から見たらモデルチェンジしたことすら気付かないだろう。今回La routeで取り上げるのは、そんなロヴァールのホイール2種である。CLXⅡに加え、旧型のCLXもお借りしてLa routeの安井行生と栗山晃靖がとっかえひっかえ試乗。記事内ではインプレッションに加え、一部で話題になったサガンのホイール破損事件や海外メディアのあの記事についても話し合った。
2022.09.05
ディスクブレーキ全盛の今、リムブレーキ用ホイールのラインナップは年々寂しくなってきている。各メーカーも今後リムブレーキ用ホイールの開発に力を入れるとは考えにくい。そう、なくなってからでは遅い。手に入れるのなら今なのだ。本企画では、編集長の安井とアドバイザーの吉本が、現在市場で手に入るリムブレーキ用ホイールのなかから「後世に残したい」をキーワードにホイールを選び、それらに試乗し、「ディスクブレーキ時代のリムブレーキ用ホイール選び」を語る。Vol.01は試乗ホイールを選定するための2人のやりとりから。
2020.05.17
ディスクブレーキ全盛の今、リムブレーキ用ホイールのラインナップは年々寂しくなってきている。各メーカーも今後リムブレーキ用ホイールの開発に力を入れるとは考えにくい。そう、なくなってからでは遅い。手に入れるのなら今なのだ。本企画では編集長の安井とアドバイザーの吉本が、現在市場で手に入るリムブレーキ用ホイールのなかから「後世に残したい」をキーワードに「ディスクブレーキ時代のリムブレーキ用ホイール選び」を語る。Vol.02はノミネートが終わったホイールの試乗インプレッションをお届けする。
2020.06.15
ディスクブレーキ全盛の今、リムブレーキ用ホイールのラインナップは年々寂しくなってきている。各メーカーも今後リムブレーキ用ホイールの開発に力を入れるとは考えにくい。そう、なくなってからでは遅い。手に入れるのなら今なのだ。Vol.03総論編ではホイール7セットの試乗を終えた編集長の安井とアドバイザーの吉本が、ディスクブレーキ時代のリムブレーキ用ホイール選びについて語る。
2020.06.15
東日本大震災で大きな被害を受けた福島県の沿岸部を舞台にしたロードレース「ツールドふくしま」。震災後に立ち入りが禁じられた市町村や自転車での通行が許されなかった道路などを繋いで構成されたコースは、国内の公道ロードレースでは最長距離となる211km――。スケールの大きさはもちろん、震災から12年を経た福島の「今」に触れられる意味でも意義のあるイベントとなるはずだった。そんなツールドふくしまを取材すべく、大雨が降りしきるなか福島へと向かったLa routeチームだったのだが……。
2023.10.16