アルミを選ぶ理由、カーボンを選ぶ理由

栗山:今回のLa route Talkはアルピニストの名を冠した初のアルミホイール「アルピニストSLX」をもとにアルミリムについてあれこれ話ができたらと思います。まずは安井さん、昨今のアルミホイールについてちょっと話しましょうか。

安井:ディスクブレーキが主流となって、アルミリムのホイールは安い完成車に付くものというイメージへ成り下がってしまった感じがします。でもここにきてロヴァールというブランドから「アルピニスト」というモデル名を与えられたアルミホイールが出てきた。以前シマノが「デュラエース」の名でアルミホイールを作ってましたけど、最近はこうしたケースはなかったので、「ロヴァールってこういうこともやるメーカーなんだ」という意外性がありました。

栗山:そうですね。しかもアルピニストといえば軽量ホイールの代名詞。その名を付けてリリースしたことに、果たしてどれくらい意味があるのか。そこも我々の注目ポイントでしたよね。

安井:はい。

栗山:そもそも現在のホイール事情を考えると、まさにカーボン全盛。その大きな理由の一つにディスクブレーキ化があると思うんですが。

安井:リムブレーキはホイールのリムサイドにブレーキシューを押し付けて制動させるので、アルミ製であることに強みがありました。ブレーキ面の平滑性の高さによって、制動時の安定性が高く、熱伝導率も高いので冷却が早かった。一方で初期のカーボンリムは、熱がブレーキ面に溜まりやすく、長いダウンヒルで溶けてしまうこともありました。

栗山:リムブレーキ時代のカーボンリムは、ブレーキング時の音も独特で大きかった。当時はアルミホイールは普段使いで、カーボンホイールはあくまで決戦用というイメージでしたね。

安井:そもそもリムブレーキ用ホイールは、ブレーキングのたびにリムに圧力がかかるので摩耗する。だから今よりもホイールは、タイヤやチェーンと同じく消耗品という認識がありました。そうなると高価なカーボンホイールを普段使いするのは避けたくなる。代わりに良く走るアルミホイールを選択するのが自然でしたよね。雨の日だって安定してブレーキが効きますし。よってリムブレーキ時代はアルミホイールを選ぶメリットがたくさんあったんですよ。

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