Vittoriaはどんなブランド?

1953年にイタリアで創業したスポーツバイクタイヤメーカー。レースの世界でも輝かしい戦績を残しており、近年ではツール・ド・フランスでのヨナス・ヴィンゲゴー、世界選手権(ロード、CX)でのマチュー・ファンデルプールの活躍がめざましい。タイのライオンタイヤを子会社化しており、年間生産本数700万本以上といわれるタイヤはすべてそこで製造されている。

ライドアーマーはどんな商品?

ヴィットリアの日本総代理店であるブイ・ティー・ジェイのサイトからライドアーマーの紹介ページをのぞくと、「鎧を纏ったタイヤ」とのキャッチフレーズが躍り、「その名がすべてを物語っています」との記述が。どんな路面コンディションをもモノともしない高い耐パンク性能とロングライフを誇る、タフでいかちぃタイヤ、それがライドアーマーの何よりの特徴である。

構造はとにかく重厚かつ複雑。CGの断面画像をコルサプロ スピードのものと比較すると、コルサプロ スピードは左右のビード間に渡された320TPIナイロンケーシングと路面に接するグラフェン+シリカコンパウンドという実質2層構造。

対してライドアーマーは内側から順に、インナーシールド、左右のビード間をカバーする耐パンクベルト、100TPIナイロンケーシング、グラフェン+シリカコンパウンドという4つの層に加え、ビードを保護するシールドとサイドウォールでタイヤ側面を保護している。

このように、様々な役割を持つ層が幾重にも重ねられて1本のタイヤを形成しており、サンドイッチやケーキよろしく“萌え断”好きにはたまらない構造となっている。ただ、そのぶん重量は375g(28C、カタログ値)とヘビー級ではある。

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