異端か、正統か(SPECIALIZED AETHOS 評論/前編)
スペシャライズドは、2020年7月に新型ターマックを発表、同時に販売もスタートさせた。そのわずか3カ月後、ディスクロードにしてフレーム重量600gを下回る超軽量バイク、エートスがデビュー。この時代に空力は完全無視、ダウンチューブにロゴはなく、レースでも使われることはない。スペシャライズドは今、何を考えているのか。なにもかもが異例づくしのエートスを、編集長の安井が考察する。
2020.10.26
ピーター・デンク氏インタビュー
鬼才が語る、フレーム設計の新事実
ディスクロードにしてフレーム重量600gを下回るという、にわかには信じがたい軽さを誇るエートス。そしてグラベルロードながら軽量ロードバイクフレーム並みの重量を実現したクラックス。それらを開発したのは、スコットのアディクトやキャノンデールのスーパーシックエボなど数々の名車を手掛けてきた、自転車界の鬼才と呼ばれるエンジニア、ピーター・デンク。La routeは、エートスが発表された1年以上も前から「デンクに話を聞きたい」と言い続け、ついに氏へのインタビューが実現した。エートスはなぜここまで軽くなったのか。なぜ従来のセオリーとは異なる形状になったのか。デンク氏から得られた回答のほぼ全てを、ここにお伝えする。
マルチェロ・ガンディーニ、ダンテ・ジアコーサ、ジョルジェット・ジウジアーロ、パオロ・スタンツァーニ、ジャンパオロ・ダラーラ、フェルディナント・ポルシェ、ゴードン・マーレー、ジョン・バーナード、ケン・オクヤマ、桜井淑敏、中村史郎、由良拓也、水野和敏、貴島孝雄……。
自動車の世界では、高名な名物設計者が多く存在する。
レースの世界まで範囲を広げると、いくらでも名前を挙げられる。そのうちの何人かはデザイナーとして有名だが、ボディ表面の凹凸だけでなく、パッケージングを含めた設計に長けているという点においては、設計者といえる存在である。
しかしなぜか自転車業界、とくにロードバイクの世界では、個人としての設計者が表に出てくることは少ない。なぜだろう。市場規模の問題だろうか。
数少ない例外の一つが、ピーター・デンクである。
このページに詳しいが、ピーター・デンク氏は1990年からフレームの設計を始めた自転車エンジニア。1995~2007年にはスコットと契約、数々のMTBフレーム、CR1やアディクトなどの軽量フレームを開発する。
97年にDenk Engineering GmbHを設立。
2008~2014はキャノンデールやGTを擁するCYCLING SPORTS GROUPと契約し、スーパーシックスエボ(フレーム重量695gの初代と、2014年デビューの2代目)を設計、ロードバイクだけでなく、様々なMTBをサスペンションシステムから作り上げた。
キャノンデールで7年を過ごした後、2014年にスペシャライズドと契約を交わし、スポーツバイク界の最先端で活躍を続けている。
軽量化の神様。カーボンフレームの鬼才。
機材好きにとって、デンクの名は特別な意味を持つ。
だから、「エートスはデンクがやっているらしい」という噂が出回り始めたときから、彼に話を聞きたいと思っていた。そして、エートスが発表されたそのときから、La routeはスペシャライズド・ジャパンのスタッフに「デンクのインタビューをさせてほしい」と言い続けてきた。
La routeのメンバーがスタッフと顔を合わせる度に「デンクからの返事はまだですか」「デンクの件はどうなってますか」と、嫌がられるほどしつこく聞いた。メールの末尾には必ず「デンクの件もよろしくお願いします」と付けた。デンクとコンタクトをとってくれていた担当者がスペシャライズドを辞してしまったりと紆余曲折はあったが、ある日「インタビューの許可がおりました」とメールがくる。1年以上前から依頼し続けていたデンクへのインタビューが、やっと実現するのだ。
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スペシャライズドは、2020年7月に新型ターマックを発表、同時に販売もスタートさせた。そのわずか3カ月後、ディスクロードにしてフレーム重量600gを下回る超軽量バイク、エートスがデビュー。この時代に空力は完全無視、ダウンチューブにロゴはなく、レースでも使われることはない。スペシャライズドは今、何を考えているのか。なにもかもが異例づくしのエートスを、編集長の安井が考察する。
2020.10.26
スペシャライズドは、2020年7月に新型ターマックを発表、同時に販売もスタートさせた。そのわずか3カ月後、ディスクロードにしてフレーム重量600gを下回る超軽量バイク、エートスがデビュー。この時代に空力は完全無視、ダウンチューブにロゴはなく、レースでも使われることはない。スペシャライズドは今、何を考えているのか。後編では、編集長の安井がエートスで200kmを走った印象を記す。
2020.10.28
設計や性能だけでなく、コンセプトや立ち姿も含めて、もう一歩スペシャライズドのエートスというバイクの存在意義に踏み込みたい。エートス評論企画番外編では、編集長の安井とマーケティングやブランディング方面にも一家言あるアドバイザーの吉本の対談をお届けする。
2020.10.30
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2022.02.07
量産ディスクロードながらフレーム重量500g台、完成車重量5kg台という軽さを実現し、大きな話題を呼んだスペシャライズド・エートス。La routeでも3回に渡ってエートスの記事を公開した。しかしLa routeはハイエンドバイク専門メディアではない。近年稀に見るエポックメーカー、エートスならミドルグレードの試乗もすべきだろう。エートスの購入を本気で検討しているLa routeのテクニカルディレクター、藤田宗親を加え、リアルな買い手目線のエートスグレード間比較試乗記をお届けする。
2021.07.19
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ライトやサイコン、スマホやアクションカムといったデバイスを、ハンドルに取り付けるためのマウントを専業にしている会社がある。もしかしたらご存じの方もいるかもしれない。「レックマウント」だ。2万通り以上という圧倒的なバリエーションで他社の追随を一切許さないレックマウントは、いかにして生まれたのか。代表を務める山﨑 裕さんは一体何者なのか。自身もレックマウントを愛用するライターの石井 良が、千葉県の本社を訪れインタビューを行った。
2021.07.05
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2021.09.06
別府史之、38歳。職業、ロードレーサー。日本人初となるツール・ド・フランス完走者のひとりであり、高校卒業後から現在に至るまで、数えきれないほどの功績を日本ロードレース界にもたらしてきた人物だ。今回のインタビューは、フランスに拠を構えている別府が帰国するという話を聞きつけ急遽実施。インタビュアーは、別府史之を古くから知る小俣雄風太が務める。
2021.06.21
2021年1月23日。女子プロロードレーサー、萩原麻由子のSNS上で突如として発表された引退の二文字。ジャパンカップで9連覇中の沖 美穂を阻んでの優勝、カタール・ドーハで開催されたアジア自転車競技選手権大会での日本人女子初優勝、ジロ・ローザでの日本人女子初のステージ優勝――。これまで数々の栄冠を手にしてきた萩原は、何を思い、引退を決意したのか。栄光と挫折。挑戦と苦悩。萩原麻由子の素顔に迫る。
2021.02.22
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2020.05.30
東京から大阪、その距離およそ520km。通常なら3〜4日かけてのぞむようなロングライドだ。しかし自らに24時間というタイムリミットを課し、出発日時をネット上で宣言した瞬間、520kmの移動は“ツーリング”から“キャノンボール”へと意味を変質させる。多くのサイクリストにとって未知の領域であるこのキャノンボールについて、ウェブサイト「東京⇔大阪キャノンボール研究」の管理人にして、過去に2度のキャノンボール成功を達成している「baru(ばる)」さんにインタビュー。サイクリストを惹きつけるキャノンボールの魅力から、明快な論理で導き出される攻略法に至るまで、じっくり教えてもらった。
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2020.04.24
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2020.09.14
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2020.11.23
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2021.12.06