EFFECT オーナーメカニック・日比谷篤史さんインタビュー|本気か、どうか
ライディングスタイルと同様に多様化する「自転車にまつわる働き方」にスポットをあて、好きを仕事にした様々な自転車人にインタビューする連載企画「自転車で食べていく」。記念すべき第 1 回は 2013 年にスタートした、国内における自転車メンテナンス専門店のはしりともいうべき「EFFECT」のオーナーメカニック、日比谷篤史さんにお話を伺った。
2021.12.13
SLOG BIKE SHACK訪問記
北の異端児の自転車愛
北海道札幌市。街の中心地からほんの少し離れたところに、SLOG BIKE SHACKはあった。自転車屋とは思えない店構えに、髭面でタトゥーびっしりの店主がいるそのお店は、新車販売の割合は少なく、業務は修理とレストアがメイン。店主の名は、熊谷俊英さん。明らかに業界の異端児だ。しかし、よくありがちな自己主張と自己愛に満ちた痛々しい異端児ではなく、自転車の楽しみ方や、中古車の在り方や、ショップの姿勢などに、真正面からぶつかってきた人だった。彼の来歴と自転車観を聞きながら、自転車との付き合い方を考えた。
その古びた建物は、行き止まりになっている路地にある。壁は蔦で覆われ、前に停められた軽トラの周りには、売り物なのか残骸なのか分からない自転車が積みあがっている。オートバイも数台混ざっていた。店内は薄暗くてよく見えない。窓には何のことだかよく分からないチラシが何枚も貼ってあった。
なんともはちゃめちゃな店構え。何かの倉庫なのか、リサイクルショップなのか、はたまた――。
入りやすく。敷居を低く。分かりやすく。フレンドリーに。必要なのは、清潔感と、親近感と、情報の開示です。外から店内がよく見えるようにすると、なおいいでしょう。
店構えのキーポイントを調べるとたいていこんなことが書いてあるが、このお店はそのどれも備えていない。かといって、あえて分かりにくく雑然とした雰囲気にして非日常感を出すというあざとい演出でもなさそうだ。自然とこうなったという感じ。
大きなチェーンリングのイラストと共に「SLOG BIKE SHACK」、「BICYCLE REPAIR SERVICE」との文字が壁にある。恐る恐る中を覗くと、古い自転車の大群の中に、大男が憮然とした表情で座っていた。予想通りの強面で髭面。両腕にはびっしりタトゥー。
「あぁ、NBくんから聞いてます」
これがファーストコンタクト。
続きを見るにはログインしてください。
ライディングスタイルと同様に多様化する「自転車にまつわる働き方」にスポットをあて、好きを仕事にした様々な自転車人にインタビューする連載企画「自転車で食べていく」。記念すべき第 1 回は 2013 年にスタートした、国内における自転車メンテナンス専門店のはしりともいうべき「EFFECT」のオーナーメカニック、日比谷篤史さんにお話を伺った。
2021.12.13
テキサス州の州都、オースティン。ライブミュージックの街としても知られるこの地に、「Tomii Cycles」というブランドを立ち上げた日本人フレームビルダー冨井 直がいる。現代アーティストを目指して1998年に渡米した彼は、なぜ2011年に自身のフレームブランドを立ち上げることになったのか。自転車との邂逅、彼の地でのKualis cycles西川喜行さんとの出会い、そしてフレームづくりへのこだわり――。かねてから親交のあるフォトグラファー田辺信彦が現地でインタビューを行い、冨井 直の素顔に迫る。
2022.05.09
海外通販の普及、コンセプトストアの台頭、コロナ禍といった社会情勢、そしてユーザーの趣味趣向が目まぐるしく移り変わりつつあるなかで、スポーツ自転車ショップも変化を求められている。そこで今回は、「なるしまフレンド」「サイクルキューブ」「スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ」「フォーチュンバイク」という方向性の異なる4ショップの代表に集まっていただき座談会を実施。自転車業界の現状を見つめ直すとともに、スポーツ自転車ショップのこれからについて語り合った。
2021.01.11
海外通販の普及、コンセプトストアの台頭、コロナ禍といった社会情勢、そしてユーザーの趣味趣向が目まぐるしく移り変わりつつあるなかで、スポーツ自転車ショップも変化を求められている。そこで今回は、「なるしまフレンド」「サイクルキューブ」「スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ」「フォーチュンバイク」という方向性の異なる4ショップの代表に集まっていただき座談会を実施。自転車業界の現状を見つめ直すとともに、スポーツ自転車ショップのこれからについて語り合った。
2021.01.13
なるしまフレンドのメカニック小畑 郁が、編集長の安井行生とともに自転車業界のあれこれを本音で語る連載「メカニック小畑の言いたい放題」。混沌のこんな時代だからこそ、ショップ選びが重要になる―― 前回(Vol.7)の対談で飛び出したそんな言葉を受けて、今回は「ショップ選び」について改めて考えてみることにした。自転車趣味におけるショップは、自転車を買う場、整備や修理をお願いする場に留まらない。学びの場でもあり、自転車人生の道標になり得る場でもある。そんなショップと巡り合うにはどうすればいいのか。
2023.08.28
大阪府堺市にあるフレームブランド「コーナー」。主宰するのはかつてLa routeでも行ったフレームビルダー座談会にも参加してもらった、33歳の寒川勝一さんである。これまで彼はロードバイクはもちろん、グラベルロードやマウンテンバイク、実用的な軽快車などジャンルレスで多彩なバイクを製作してきた。しかしそこに一貫してあるのは「寒川さんらしさ」である。連載企画「若者たちの肖像」の第5回は、そんな若きフレームビルダーの紆余曲折な自転車人生に迫る。
2022.07.04
去る5月21日に行われたニセコグラベル2023スプリングライドに、La route編集長の安井とプロデューサーの栗山が参加した。新緑と残雪が織りなす、北海道の春らしい風景のなか、舗装路と未舗装路を駆け巡ります―― 公式サイトにあるそんな言葉に胸躍らせていたのだが、当日はまさかの、非情の、悲運の、冷たい雨。泥と冷水と寒さに苦しめられた60kmだったが…… 雨のニセコグラベルを通して、安井が北海道と自転車の不思議な関係について考えた。
2023.06.28
グラベルロードを手に入れて、イベントや日々のライドを楽しんでいる安井と栗山の2人。2023年は、日本のグラベルイベントと言えば必ずその名が挙がる「ニセコグラベル」のスプリングライドとオータムライドのどちらにも参加したが、周りを見渡すと絶賛記事しか目につかない。果たして本当のところはどうなのか? La route Talk の第6回は、安井と栗山の2人がニセコグラベル参加を通して感じた課題や、日本のグラベルシーンの行方について語る。対談の最後には、「グラベルはあんまり盛り上がらないほうがいいのかも」などという業界人らしからぬ発言も……。
2023.12.18
機材好き界隈ではこれほど有名なのに、メディアでの露出が一切ないショップがある。手組みホイールで有名な大阪の「のむラボ」だ。ブログでの毒舌が独り歩きしている感もあるが、店主の野村泰文さんとはどういう人なのか。そして、彼が作るホイールはぶっちゃけどうなのか。安井がのむラボを訪ね、話を聞き、のむラボホイールをオーダーし、乗ってみた。(おそらく)自転車メディア初の、のむラボ訪問記&のむラボホイール試乗記。
2021.11.01
2005年から開催されていたNAHBSの中断からはや数年が経つ。ハンドメイドバイクの世界的祭典であり、かつては大きな影響力を誇ったそれと入れ替わるように、2023年8月に開催されたのが「MADE」である。アメリカの魅力的なブランドを多数取り扱うTKCプロダクションズ代表、森本禎介氏がそんなMADEを視察するため、オレゴン州ポートランドへ。会場に並べられたバイクたちを見て、ブースにいるビルダーたちに話を聞いて、ハンドメイドバイク界に吹く新しい風を感じた森本氏が、それを余すところなく文字にした。
2023.10.02
中内 陸、26歳。2022年3月からワーキングホリデー制度を活用し、愛車とともにイギリス・ロンドンで生活している。「ワーホリサイクリスト中内のロンドン自転車日記」では、そんな中内 陸が見て、感じた、イギリスの自転車事情を綴っていく。今回はこれまでのツーリング系の内容から打って変わり、4月に開催されたイギリス最大級の自転車イベント、その名もずばり「The Cycle Show」の模様をレポート。日本ではなかなかお目にかかれないバイクの数々やイベントの雰囲気など、たっぷりの写真とともにお届けします。
2023.08.09
1982年にデビューした日本初の量産マウンテンバイク、アラヤ・マディフォックス。それはいかにして生まれ、どのように進化したのか。それはなぜ歴史的な一台となり、そしてなぜ(一度は)姿を消したのか。40年近くアラヤに在籍し、マディフォックスの誕生から現在までを知り尽くした男、内藤常美によるマディフォックス物語。日本のマウンテンバイク黎明期の知られざるストーリーを連載でお届けする。Vol.1は、初代マディフォックスの開発~発売までのエピソード。
2021.05.31
1982年にデビューした日本初の量産マウンテンバイク、アラヤ・マディフォックス。それはいかにして生まれ、どのように進化したのか。それはなぜ歴史的な一台となり、そしてなぜ(一度は)姿を消したのか。40年近くアラヤに在籍し、マディフォックスの誕生から現在までを知り尽くした男、内藤常美によるマディフォックス物語。Vol.2は、マディフォックス成長期のエピソード。スローピングフレームやアルミフレームが追加され、人気はうなぎ上りに―。
2021.07.26
1982年にデビューした日本初の量産マウンテンバイク、アラヤ・マディフォックス。それはいかにして生まれ、どのように進化したのか。それはなぜ歴史的な一台となり、そしてなぜ(一度は)姿を消したのか。40年近くアラヤに在籍し、マディフォックスの誕生から現在までを知り尽くした男、内藤常美によるマディフォックス物語。オーバーサイズ化、漆匠とのコラボレーション、カーボンフレームにマグネシウムフレームにモンゴル製のアルミフレーム……人気と当時の熱狂的なバブル景気を追い風とし、成長と拡大を続けるマディフォックスの最盛期を記したVol.3。
2021.08.23
1982年にデビューした日本初の量産マウンテンバイク、アラヤ・マディフォックス。それはいかにして生まれ、どのように進化したのか。それはなぜ歴史的な一台となり、そしてなぜ(一度は)姿を消したのか。40年近くアラヤに在籍し、マディフォックスの誕生から現在までを知り尽くした男、内藤常美によるマディフォックス物語は、ついに最終回。海外ブランドの上陸、バブル崩壊、機材の先鋭化とスポーツバイクの変化。マディフォックスには逆風が吹き荒れ、ついに……。
2021.11.08
「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第一回目は、SURLYとの出会いと彼らがもつ魅力について。
2020.07.06
「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第2回は、SURLY誕生のルーツとものづくりの設計思想について。
2020.08.10
「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第3回は、旅とSURLYの関係性について。
2020.10.19
「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第4回は、SULRYの代名詞のひとつであるファットバイクのルーツや開発秘話をお届けする。
2020.12.21
「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第5回は、完成車ブランドではなく“パーツブランドとしてのSURLY”に着目し、彼らがこれまで生み出してきた数々のパーツにスポットをあてる。
2021.04.12