さすがにこれはないだろう

Glory through suffering1かつてのラファのタグライン。「苦痛の先にある栄光」の意。もいいけれど、個人的には「苦痛なくして快楽なし」と言いたい。

本当の快楽を得るには苦痛が必要だから、僕らはあえて体力を消耗する乗り物に乗って、不自然な前かがみになって、足をペダルに括り付け、がむしゃらに脚を回し、自分の身体を苦しめるのだろう。その先にある快楽を求めて。僕らは快楽主義者なのだ(それをマゾヒズムと言うのかもしれないが)。

とはいえさぁ、これはさすがにないんじゃないの?

ニセコグラベル当日の出走直前、参加者たちの準備が整ったのを見計らうかのように強まる冷たい雨を見ながら、天を恨む。全国各地で自転車イベントが開催されたこの日、雨が降ったのは北海道のこの地域だけ。そしてこのライドの時間帯だけ。雨脚が弱まるのは、予報によるとゴールした直後らしい。まるでお天道様の嫌がらせだ。

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2022.11.14

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2023.05.15

column

Le Tour ensemble(Vol.01)|14年ぶりの再会

ツール・ド・フランスの熱い夏がはじまった。選手、機材メーカー、スポンサー、オーガーナイザー、メディア、観客——。今年もそうしたすべてを飲み込み、プロトンは進んでいく。「Le Tour ensemble」では、14年ぶりに現地に赴いたジャーナリストの小俣雄風太による、ツール・ド・フランスのリアルな現地レポートを複数回にわけてお届けする。記念すべき第1回は、ツール取材を思い立ったきっかけ、そして7月4日から石畳ステージとなった7月6日までの模様を現地からレポートする。

2022.07.07

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2022.03.16

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