本当のトレンドはどこにある

ロシアのウクライナ侵攻で注目された諜報活動の手段としてOSINT=オープン・ソース・インテリジェンスがある。これはウクライナ、ロシアの双方から発信されるTikTok、テレグラムなどのソーシャルメディアや、グーグルマップの衛星写真などの公開情報を元に、プロパガンダを乗り越え、オープンソースで実際の戦況を読み解くものだ。誰もがスマホを持ち、兵士から市民まで瞬時にリアルな戦場の模様を発信できる時代ならではだが、自転車レースも全く同じ状況にある。

自転車レース、特にグランツールは3週間に渡ってほぼ毎日200km近い距離を走るというレースの性質上、展開を知るのが難しい。TVはせいぜい逃げ集団とプロトンを中継するのみで、終盤の狭い道で決定的なアタックが決まった瞬間などは空撮の遠い映像しかなく、モトのカメラマンによる写真が残っていないことも多い。しかし、最近はスマホに搭載されたカメラの解像度も上がり、レンズも明るいのでプロ顔負けの決定的な瞬間が観客によって撮影されてソーシャルで話題になることがしばしば起こる。レースの展開は即日YouTuberによって解説され、密かに投入された新機材の分析もRedditなどのフォーラムで行われる。全ては集合知によってほとんどすぐに丸裸にされてしまい、我々はそれを自宅の布団の中で知ることができる。

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森本禎介のシーオッタークラシック参戦レポート|消えゆく境界線

アメリカの魅力的なブランドを多数取り扱うTKCプロダクションズ代表、森本禎介氏。ワールドワイドな視点でスポーツバイクシーンを俯瞰することができる数少ない人物であり、SNSでの歯に衣着せぬ発言でも知られる存在だ。そんな森本氏が、2023年4月20~23日にカリフォルニアで行われた世界最大規模のオフロード系自転車イベント、シーオッタークラシックに参加。そこで見て、聞いて、考えたあれやこれやを綴る。ロードとMTBの境界について。実店舗の存在意義について。メーカーとメディアとユーザーの在り方について。単なる報告に留まらない、森本節全開のレポート。

2023.06.26

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ワーホリサイクリスト中内の自転車日記(Vol.04)|「The Cycle Show」で魅惑のバイクに酔う

中内 陸、26歳。2022年3月からワーキングホリデー制度を活用し、愛車とともにイギリス・ロンドンで生活している。「ワーホリサイクリスト中内のロンドン自転車日記」では、そんな中内 陸が見て、感じた、イギリスの自転車事情を綴っていく。今回はこれまでのツーリング系の内容から打って変わり、4月に開催されたイギリス最大級の自転車イベント、その名もずばり「The Cycle Show」の模様をレポート。日本ではなかなかお目にかかれないバイクの数々やイベントの雰囲気など、たっぷりの写真とともにお届けします。

2023.08.09

interview

Tomii Cycles/冨井 直インタビュー|フレームに宿る“美”と“楽”

テキサス州の州都、オースティン。ライブミュージックの街としても知られるこの地に、「Tomii Cycles」というブランドを立ち上げた日本人フレームビルダー冨井 直がいる。現代アーティストを目指して1998年に渡米した彼は、なぜ2011年に自身のフレームブランドを立ち上げることになったのか。自転車との邂逅、彼の地でのKualis cycles西川喜行さんとの出会い、そしてフレームづくりへのこだわり――。かねてから親交のあるフォトグラファー田辺信彦が現地でインタビューを行い、冨井 直の素顔に迫る。

2022.05.09

interview

トラックバイク専用工具RUNWELL誕生ストーリー|15mmレンチに込めた機能と美

3月末に敢行した2泊3日のLa route新潟取材。それは自転車業界におけるメイド・イン・ジャパンの真髄に迫る旅でもあった。先日公開したヨネックス・カーボネックスSLDの開発譚に続き、今回はものづくりの街・燕三条で、およそ90年にわたって金属加工業を営んでいる相場産業の4代目・相場健一郎さんのインタビューをお届けする。思いがけず25歳の若さで家業を継ぐことになった経緯から、2011年に立ち上げたトラックバイク専用工具ブランド「RUNWELL」の生い立ちと今後の展望を聞きながら、“Absolutely Made in Japan”を掲げてものづくりを続ける相場さんの歩みに迫った。

2023.07.17

interview

ビルダー4名が語る、 金属フレームのこれから(前編)

年齢も性格もビジネスの形態も使う素材も考え方も違う。しかし日本のオーダーフレーム界を背負って立つという点では同じ。そんな4人のフレームビルダーが、各々のフレームを持ってLa routeの編集部に集まってくれた。金属フレームの可能性について、オーダーフレームの意味について、業界の未来について、モノづくりについて、忌憚なく語り合うために。その会話の全記録。

2020.04.24

interview

ビルダー4名が語る、 金属フレームのこれから(後編)

年齢も性格もビジネスの形態も使う素材も考え方も違う。しかし日本のオーダーフレーム界を背負って立つという点では同じ。そんな4人のフレームビルダーが、各々のフレームを持ってラ・ルートの編集部に集まってくれた。金属フレームの可能性について、オーダーフレームの意味について、業界の未来について、モノづくりについて、忌憚なく語り合うために。その会話の全記録。

2020.04.24

column

アラヤ・マディフォックス物語(Vol.01)| 銀輪が生んだ和製マウンテンバイク

1982年にデビューした日本初の量産マウンテンバイク、アラヤ・マディフォックス。それはいかにして生まれ、どのように進化したのか。それはなぜ歴史的な一台となり、そしてなぜ(一度は)姿を消したのか。40年近くアラヤに在籍し、マディフォックスの誕生から現在までを知り尽くした男、内藤常美によるマディフォックス物語。日本のマウンテンバイク黎明期の知られざるストーリーを連載でお届けする。Vol.1は、初代マディフォックスの開発~発売までのエピソード。

2021.05.31

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不愛想な自転車たち(Vol.01)

「スペック」や「速さ」が重視されるスポーツ自転車において、「ゆるさ」という何の数値化もできない性能で瞬く間に世を席巻した、1998年創業の自転車メーカー「SURLY」。2006年から幾度となく彼らの本拠地ミネソタに足を運んだ自転車ライター山本修二が、今までほとんど語られることのなかったSURLYのすべてをお伝えする。連載第一回目は、SURLYとの出会いと彼らがもつ魅力について。

2020.07.06

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日本のオフロードを考える(Vol.1) ┃この国で土遊びは根付くのか

グラベルロードが盛り上がりを見せており、マウンテンバイクにも追い風が吹いている。一方、課題なのが“走る場所”問題だ。日本の未舗装路は法的に曖昧かつ複雑なことが多く、過去のマウンテンバイクブームでもクリアにならないまま。このままいけば、グレーゾーンだった場所ですら走れなくなる可能性もゼロではない。そこでLa routeは、自転車界のオフロード回帰が進んでいる今、この問題にあえてメスを入れたい。連載企画「日本のオフロードを考える」第1回は、暗部を含め日本のオフロードシーンを長年見てきた山本修二が自身の経験に基づき、「日本ではなぜオフロードの自転車遊びが根付かないのか」について考えた。

2021.10.25

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La route、コミケに潜入する |正体不明の熱気の中で

今回で100回目を迎える世界最大級の同人誌即売会「コミックマーケット」、通称コミケ。メディアで「オタクの祭典」的な扱いをされることも多く、アニメ・二次元・美少女のイラスト・二次創作などのイメージがあるが、それだけではない。対象となるジャンルは無限と言いたくなるほど幅広く、その中にはもちろん「自転車」もある。人気ブログ「東京⇔大阪キャノンボール研究」の管理人を務めるbaruさんにお誘いを受けたLa routeチームは、コミケに初潜入。自転車系サークルが集結する、いわゆる“自転車島”で、参加者の熱気を浴びてきた。

2022.09.14

interview

寒川勝一(33)フレームビルダー|人生のコーナーを抜けた先

大阪府堺市にあるフレームブランド「コーナー」。主宰するのはかつてLa routeでも行ったフレームビルダー座談会にも参加してもらった、33歳の寒川勝一さんである。これまで彼はロードバイクはもちろん、グラベルロードやマウンテンバイク、実用的な軽快車などジャンルレスで多彩なバイクを製作してきた。しかしそこに一貫してあるのは「寒川さんらしさ」である。連載企画「若者たちの肖像」の第5回は、そんな若きフレームビルダーの紆余曲折な自転車人生に迫る。

2022.07.04

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EFFECT オーナーメカニック・日比谷篤史さんインタビュー|本気か、どうか

ライディングスタイルと同様に多様化する「自転車にまつわる働き方」にスポットをあて、好きを仕事にした様々な自転車人にインタビューする連載企画「自転車で食べていく」。記念すべき第 1 回は 2013 年にスタートした、国内における自転車メンテナンス専門店のはしりともいうべき「EFFECT」のオーナーメカニック、日比谷篤史さんにお話を伺った。

2021.12.13

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equipt sardine購入記│怒りと、志と、イワシ

青い自転車用携帯工具がSNSのタイムラインに頻繁に流れてくる。サーディンという名のその携帯工具は、従来のそれとは全く違う形をしていた。作ったのは、日本でマニアックな自転車関連部品の輸入を行う代理店の中の人らしい。ならばと1つ買ってみた。ついでに作った本人に話を聞いてみた。その使い勝手は。7,400円という価格なりの価値はあるのか。安井の携帯工具嫌いは治るのか。

2023.02.08

technology

RUNWELL工場見学|燕三条で、工具が生まれる瞬間

相場産業の工具ブランド「RUNWELL」の生い立ちをお聞きした後は、もちろん工場見学である。相場産業は、1935年に燕三条に創業し、今でもこの地で金属加工を続けている。なぜ燕三条という地域は「金属加工のメッカ」となったのか。そこで、RUNWELLの工具はどのようにして作られているのか。なぜ工具は鍛造でなければならないのか。熱間鍛造の轟音と熱気をBGMに、単なる鉄の丸棒が世にも美しい工具へと変貌する様を、楽しんでいただきたい。

2023.07.17

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VAAST R/1試乗記|マグネシウムの存在意義

初期ドグマがマグネシウムフレームだったことすら忘れられていそうな2023年の今、アメリカのヴァーストが日本でも話題になっている。環境負荷低減のため、ラインナップする全てのバイクをリサイクル性に優れたマグネシウムで作るという、個性的な新興メーカーである。小田原で行われたロードバイクのR/1の発表試乗会に編集長の安井が参加。本社のゼネラルマネージャー、モーテン・クリスチャンセン氏との質疑応答も交えながら、マグネシウムフレームの今を見つめる。最初は「いまさらマグ?」「意識高い系か?」とやや引き気味だったようだが……。

2023.07.10

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メッセンジャー狂時代(Vol.01)

2000年代、東京。ロードバイクを中心とするスポーツ自転車がブームになりつつあるなかで、もうひとつの自転車カルチャーが注目を浴びつつあった。自転車で荷物を運搬するメッセンジャーである。”自転車便”といういち職業でありながら世界的なムーブメントにもなった当時のリアルを、自身もメッセンジャーとして都内を駆け巡った経歴を持つBambiこと南 秀治が綴る。

2020.11.02