La route立ち上げから3年

安井:早いもので、今年もLa route年末対談の季節がやってきましたね。2020年には吉本 司さん、鏑木 裕さん、そして僕の3人で鼎談を、昨年はハシケンさんこと橋本謙司さんと僕の対談を行いましたが……。

栗山:今回は、3年目に突入したLa routeの現在地もテーマにしようと、編集長の安井とプロデューサーの栗山による対談というかたちでお届けすることにしました。要は中の人たちの1年ぶんの編集後記的な感じで(笑)。

安井:そうですね。

La route編集長の安井行生。スポーツが大嫌いで典型的な本の虫だった中学時代からなぜか自転車(ママチャリ)に乗ると狂ったようにペダルを回すという奇癖を持っていたらしい。大学入学と同時にスポーツバイクに乗りはじめ、メッセンジャーを経て自転車メディアの世界へ。自宅近くに素晴らしいトレイルを見つけたりと、今年はオフロード率が高まった一年だった。
鳥取生まれ、岡山育ちの栗山晃靖。自転車をはじめたきっかけは「自転車雑誌の編集部で働くことになったから」という、割とレア(?)な経歴の持ち主。自転車歴は15年以上とムダに長いが、ずっとゆるポタ勢。今年はサイクルフォトグラファーの辻 啓さんからスペシャライズドのヴェンジを譲ってもらったのも大きなトピック。そのほかフェルトのF4、サーリーのスティームローラーを所有しているが…最近また何か1台…。

栗山:まずLa routeを立ち上げたのは2020年の4月です。それから1年経ったときによく言われたのが「続くとは思わなかった」ということ(笑)。自転車業界に限らず、メディア関係の知り合いの多くが、正直継続するとは思ってなかったみたいで。

安井:まあ、そう思うのも分かります。

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