なぜ私(baru)が選ばれたのか?

今回の試乗を依頼されて、まず頭に浮かんだのは「なぜ私(baru)に話が?」という疑問だった。

La routeのメンバーには、ホイールインプレッションの達人が2人も名を連ねている。自転車ジャーナリストの吉本 司さんと編集長の安井行生さんである。雑誌でもホイールインプレッション特集を担当するこのお2人の対談ならば、どこに出しても恥ずかしくない記事が出来上がることは間違いない。

一方、私と言えば、ブログで製品レビューを書いてはいるものの、ホイールに関してはお2人ほどの経験はない。乗った本数で言えば1/10以下のはず。そんな自分になぜ声が掛かったのだろうか。安井さんにその意図を尋ねてみると、こんな回答が返ってきた。

「シマノが出した15万円代のカーボンホイールは、一般ユーザーにとってもっとも気になる存在だと思うんです。そこで、自転車業界人ではなく、数々の自腹レビューを書いている一般ユーザーの代表としてbaruさんにお願いできればと思ったんです」

実は、最初に話を頂いた際、過去のホイールインプレッション記事を読み込んで「それっぽい言い回し」を会得しようかと考えていた。あまりにもホイールの性能を表現する語彙が足りていないと思ったからである。しかし、求められているのはそこではなかった。

今回は、一般ユーザーとして「自分が買うとしたらどうか」を念頭に置いて試乗を行い、感じたままのことを喋ろうと心に決めたのだった。

今回の試乗対象は、R8170のアルテグラホイール3種(C36/C50/C60)。細かいスペックはこのページを参照していただきたいが、シマノが低価格帯に投入したディスクロード用カーボンホイールで、デュラエースと同様に36mm、50mm、60mmの3種類のリムハイトが用意される。

デュラエースはディスクブレーキ用のチューブレスとチューブラーに加え、リムブレーキ用のチューブラーも用意されるが、アルテグラはディスクブレーキ用のチューブレスのみとなる。

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