※前編はこちら

グラベル化していくヨーロッパのレース

小俣:ロードレースシーンの撮影をしている啓兄に話題として触れておきたいんだけど、いまヨーロッパのトップレースにもグラベルを取り入れたものが増えてきているけど、どう思う?

辻:確かに増えたね。この2年ぐらい特に。

小俣:最初にあったのは「ストラーデ・ビアンケ1イタリア、トスカーナ州で開催されるワンデーレース。2022年はタデイ・ポガチャルが独走勝利を果たした。」だったと思うんだけど。

辻:そうね、やっぱりグラベルをロードレースに組み込んだ元祖はストラーデ・ビアンケだと思う。初開催された最初はモンテ・パスキ・エロイカっていう名前だった。

小俣:2010年より前だよね。

辻:ジロ・ディタリアが未舗装路を取り入れ始めたのもその頃。アンジェロ・ゾメニャンという前レースディレクターが積極的に面白いことをやりたがる人で、未舗装路のフィネストレ峠が頻繁にコースになったり、トスカーナを走るステージでは未舗装路を組み込んだり。だからストラーデ・ビアンケに限らずRCSスポルトの主催レースが早い段階でグラベルを取り入れ始めたと思う。15年くらい前かな。

小俣:最近は特にグラベルを入れたレースが増えてる印象があるな。

辻:今年スペインで初開催されたレース「クラシカ・ハエン・パライソ・インテリオル2コース上のグラベル区間が40km以上もある、今年初開催となったワンデーレース。」もそうだし、「パリ〜トゥール31896年から開催されている、フランスのパリからトゥールまで走るワンデーレース。2010年には日本の新城幸也が5位に入賞した。」もいつの間にかグラベルが出てきて、グラベル区間が目玉ですって「いつからそんなレースに!?」って感じ。で、最近ではグラベル化に対しての反対意見も表に出始めたね。

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