明日もまた、カレドニアで
La routeでもおなじみの書き手であり、編集者であり、実況リポーターでもある小俣雄風太氏が自転車を買ったらしい。「モダン・ロードバイク」を掲げるサーヴェロ・カレドニア-5である。エアロ、軽量、ファンライドといろんな要素をクロスオーバーさせたカレドニアは、ともすれば中途半端な存在にもなりかねないが、なぜ小俣氏はそんなカレドニアに引き寄せられたのか。カレドニア購入にまつわる小俣雄風太の極私的な購入&試乗ストーリー。
2021.10.15
カレドニアに
まつわるエトセトラ(前編)
サイクルフォトグラファーの辻 啓と編集ライターの小俣雄風太。旧知の仲でもある二人だが、申し合わせるでもなく同じタイミングで、しかも同じカラーのバイクを購入するという偶然が起きた。バイクは舗装路から未舗装路まで幅広い走行シーンを想定した、サーヴェロのカレドニアー5。小俣氏に関してはLa routeでも購入記を綴ってもらったが、それにしてもなぜ2人は同じバイクを買ったのか?
共に「J SPORTS」や「GCN」で海外ロードレースの実況解説を担う両名が、いま海外で起きているレーストレンドを踏まえつつ、自分の理想のライドやカレドニアというバイクの魅力、ひいてはそれぞれのロードバイク観について行った対談を、前編と後編に分けてお届けする。
小俣:まずはなんで僕らがロードバイクを新調しようとしたのか、というところから始めようか。
辻:今まで2年半ほどメインで乗っていたのが2019年モデルのスペシャライズド・ヴェンジ。そろそろヴェンジの何かを変更しようかと思い始めていたところに、ちょうどシマノのデュラエースがフルモデルチェンジされたので組み替えようかなと。でも、めちゃくちゃいいバイクで、気に入ってはいるんだけど、メディアでの露出がしづらくなってきたのが正直なところで。
小俣:それはヴェンジがディスコンになったから?
辻:そう、モデルとしてディスコンになったから。ライド撮影の時に「自前のヴェンジを持っていきます」と言うと、先方から「それならこちらで新型の◯◯◯を用意します」と言われることが増えてきたのが一番のきっかけかな。
小俣:ライドシーンが映るようなロケね。淡路島の企画とかやってたもんね。
辻:ヴェンジに新型デュラエースかアルテグラを組み込むのも違うかなと思い始め、じゃあどんなバイクならいいだろうと探し始めたのが昨年の秋。候補に上げたうちの一台がカレドニア-5だった。
小俣:バイク選びの基準は何だったの?
辻:まずは「辻 啓が乗らなさそうなバイク」にしたかった。
小俣:逆に辻 啓が乗っていそうなバイクって何?
辻:これまで付き合いの長いキャノンデールやキャニオン、スペシャライズドもそうかな……。あとは愛犬花子(ゴールデンレトリバー)の姉妹犬を飼っている和歌山の西川喜行さんが作るクオリスとか。ただ、昔からサーヴェロに対する憧れがあった。イタリアに留学していた頃にチームCSCが乗って活躍していたイメージがすごく強くて。
小俣:イヴァン・バッソがいたチームね。
辻:バッソとかザブリスキーとか。2005~2006年頃の話。チームCSCが乗っているサーヴェロがめちゃくちゃクールに見えた。その時はアルミの黒いソロイストがすごく欲しかったんだけど、当時は留学から帰国してバイシクルメッセンジャーをしていた頃。お金が無くて、とてもじゃないけど買えなかった。だからこそサーヴェロというブランドに対する憧れは強かった。昔からヨーロッパブランドに傾倒していなかったし。
小俣:赤い3RENSHOに乗っていたころだね。
辻:そうそう。あのバイクはもう手放しちゃったけど、いま思えば結構……
小俣:イケてたと思うよ。あの頃のメッセンジャー界隈の濃いところにいたはずなのに、ディレーラーはついていたし、ブレーキもちゃんとついてたもんね。
辻:「街中を走る」という機能性を重視したバイクだったからね。周りのメッセンジャーのバイクにはブレーキが申し訳ない程度についているくらいだったけど、自分のバイクのほうが速くて配達をする上では機能的だと信じていた。坂の多い東京で速く走るには変速機つきのロードバイクが必要だったし。早速話が脱線したけどそんな過去があって、いつかはサーヴェロに乗りたいという気持ちは強かった。
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