私がグラベルロードにはまった理由

幼少期、未開拓だった秦野はだのにあった家の近所を自転車で走り回っていた。昨今流行しているグラベルライドは、そんな原体験に通じるものがあると感じる。小学生にとって、友だちと自転車で近所の野原を走ったり震生湖しんせいこまでサイクリングしたりするのに、理由なんてない。ただ純粋にそれが楽しかったから。今、雄大な自然の中でグラベルライドをする楽しさは、その時の高揚感に似ている気がする。

神奈川県二宮町で生まれ、幼稚園のときに神奈川県秦野市に引っ越した。山野を切り拓いたニュータウン的な団地に移り住んだので、周囲にはまだ多くの山や野原が広がっており、その辺りを自転車で走り回るのが遊びの一つとなった。
中学2年生のときに自転車を買おうと思い、カタログに穴が空くほど熟読して熟考した挙げ句、11万円で入門用ロードバイクを購入。しかし太いタイヤで荒野を走り回れるMTBも捨て難く、最後まで悩んでいた。

ロードバイクにした理由は、ロードであればヤビツ峠も上れるし箱根へも行けるし、江ノ島にもその先の三浦半島にも自分の足で行けるかもしれないという可能性に惹かれたから。当時は競技用の機材という認識はゼロで、あくまで遠くに行くための手段。当然、14歳にとっては車での遠征や輪行は考えられなかったので、MTBを買っても近所の野原を走り回るくらいしかイメージできなかったのだ。

よって、「オフロード×自転車」は、実は子供の頃にやってみたいと思いながら、現実的な選択として切り捨てたものでもある。社会人になり、行動範囲が広がった今、グラベルロードへの傾倒は、あの頃にできなかった「オフロード×自転車」への再挑戦なのかもしれない。

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2022.11.21