オランダ行きを決心

「世界選手権、高山さんが行けばいいじゃん」
「実際に行かないと何も分からないですよ」
「マチューとワウトの戦いが観られる今のうちに行くべきです」
「え、オランダ? 絶対に行ったほうがいいよ」

僕の背中を押してくれた言葉たちに、まず感謝したい。

観客数、盛り上がり、レースの白熱ぶり、どれをとってもここ数年で一番だったといわれる今年のシクロクロス世界選手権。そんな現場に僕が立ち会うことができた。だからまずは感謝。最近シクロクロスを知ったばかりの自分を快く送り出してくれた編集部の安井、栗山。高齢で持病がありながらも、息子が不在となることをむしろ後押ししてくれた両親。そして何より、自身7度目となる世界選手権の撮影に同行を許してくれたフォトグラファーの田辺信彦さん。みなさんのフォローと支えがあって、あの場に立つことができたのだと改めて思う。

正直今になっても、あの1週間に起きたあらゆる出来事をどう言語化したらいいのか、ベストな答えが見つかっていない。現場の熱気はSNSを通じてリアルタイムで発信してしまったし、ベルギー滞在最終日に行ったインスタライブでも、レースのことや現地の様子について話した通り。だからここでは、その日、その瞬間に見て、聞いて、感じたことを素直に並べていこうと思う。まずはオランダへ出発する2週間前まで遡りたい。

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