――今回は皆さん各メーカーの代表ということで、それぞれのメーカーがグラベルをどう考えているか、どう定義しているか、ラインナップにあるバイクがそれをどう体現しているか、なんてことを聞きたいと考えています。ディープな話に行く前に、まずはみなさんの自己紹介と、グラベルとの関わりなどをお話いただければと思います。
山本和弘(以下、山本):社歴としては7年ぐらいですが、キャノンデールに関わってからは20年ほどでずっとキャノンデール一筋でやっています。今はマーケティング部門でPRを中心に担当しています。今回の話でいくとスレートというグラベルバイクは、オンロード・オフロード問わずとことん乗って乗って乗りまくりました。グラベルバイクは自分自身も大好きなので、今回は熱くいきますよ(笑)。
――続いてスペシャライズドの下松さん。
下松 仁(以下、下松):元々はカスタマーサービスでスペシャライズド・ジャパンに入社して、デマンドプランニング、仕入れをメインにやっていました。その間に店舗にも行ったし経理もやったし、ブランドセキュリティという偽物を摘発する仕事もしましたね。現在はロードバイク全体のカテゴリーのリーダーをやっているので、ロードバイクのマーケティング全体、お店の教育なども担当しています。マーケティングを担当するようになったのはこの半年ぐらい。社歴は9年です。
――山本さんは元選手ということでバックストーリーを聞きませんでしたが、下松さんの自転車との出会いは?
下松:最初に買ったのは、日米富士自転車のオリンピックというロードバイクです。ベルナール・イノーがまだ現役で、グレッグ・レモンが出てきてローラン・フィニョンと争っていた1980年代後半の話ですね。当時は東京都府中市に住んでいたので多摩川の土手を走ってたんですが、むしろ下に見えるダートに興味が沸いてしまった。それで日米富士自転車のマウントフジというマウンテンバイクを買ったんです。
山本:初耳(笑)。
下松:それからマウンテンバイクの比重が高くなって、今もオフロードの方がメインです。
――ありがとうございます。では西村さん、お願いします。
西村敏行(以下、西村):トレックに入ったのは6年ぐらい前で、その前は、日本企業でマーケティングや広報の仕事を8年くらいやっていました。たまたま人材エージェントからトレックの話が来て、当時マーケティングマネージャーを務めていた野口 忍さんにも声をかけていただいてトレック・ジャパンに入社したんです。その後、野口さんが独立したので、そのポジションに私が入りました。自転車歴は8年ぐらいでその前はランナーだったんですよ。フルマラソンを何回か走って、トライアスロンをやりたくなって大阪のラビットストリートさんでスーパーシックスを買ったのが最初ですね。
下松:最初にスーパーシックスを買うってすごい……。
山本:すごいよね。
西村:当時は105のカーボンフレームのリムブレーキ車が20万円くらいだったんですよ。それでトライアスロンをやっていたんです。トレックに入ってからは、マウンテンバイクもシクロクロスもe-bikeもひと通り乗りました。僕が入社したのはグラベルという言葉が少しずつ出始めた時期。「アメリカでこんなのが流行ってるぞ」みたいな。当時はまだメーカーのグラベルバイクというとサルサのようなブランドしかなかったですね。