プロローグ

40年以上生きていると、経験則に基づいた自分なりの方法論や人生哲学が生まれてくるもの。僕にとってそのうちのひとつが言霊ことだまの重要性である。言霊などと書くとスピリチュアルな話と思われがちだが、要は自分の夢や目標をどんな形でもいいので言語化すれば、その通りの、もしくはそれに近い結果に結びつくという考え方である。

言語化するということは、それについて考えているということ。考えているということは、おのずとココロとカラダがその方向に向かっているということ。

仕事柄、言葉の持つ力を信じているし、僕自身、夢や目標を言語化することで、不思議とその通りに物事が進むことがこれまで何度もあった。

覚えている方がいらっしゃるかどうか分からないが、2023年最初のDAYSで僕はこんなことを書いている。

“ 2023年は日本国内もあちこち走りたいですが、それ以上に久しぶりに海外輪行をして、知らない場所を自転車でうろちょろしたいなぁなんて思ってます。できればアジアのどこか。ちょっと湿度高くて、でも日陰に入ったら涼しくて、屋台飯がサイコーに美味しくて、街の人々の笑顔に癒される、そんなところ。”

ここで何気なく書いた「海外輪行して知らない場所を自転車でうろちょろしたい」というチャンスは、そんな言霊を具現化するかのように数日後にやってきた。それが今回の台湾一周である。ただし、そこにはある条件がついていた。

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