6月に公開されたアルテホイールの試乗対談記事。そのときの感触が忘れられず、私(baruはアルテホイールを購入した。購入理由は対談本文でコメントしているので、そちらを参照頂きたい。「インプレ企画で試したアイテムを買ってしまう」のは試乗者としては「あるある」な出来事らしく、安井さんからは「してやったり」とのコメントを頂いた。してやられました。

6月末、初のDi2採用となった新型105(R7100がシマノから発表された。同時に、105グレードのチューブレスカーボンホイールである「WH-RS710-C32-TL」と「WH-RS710-C46-TL」も発表。105グレードとしては初のカーボンリム採用ホイールである。デュラ・アルテホイールの弟分とも言える存在だが、兄貴分と違って2種類のハイト展開(32mm/46mmとなっている。

アルテホイールの試乗を担当した(更に自費購入して日常的に使っている私は、弟分たるWH-RS710のインプレにも適していると判断されたようで、前回に引き続き試乗の後に安井さんと対談を行うこととなった。正式発売前の7月、シマノから貸し出されたWH-RS710に試乗する機会を頂いた。

36mm、50mm、60mmという3種類のハイトを揃えていたデュラエース・アルテグラに対し、105グレードは32mmと46mmの2種類のラインナップに。シマノによれば、105ユーザーの使用速度域はデュラ・アルテユーザーより低いとの想定から、それぞれ4mmずつ低いハイト設定にしたのだそう。
デザインは余計な主張がなくシンプル。リムには左から見ると青文字の「SHIMANO」、右から見ると型番とリムハイトの数字が記された小さなステッカーがぐるっと巻かれているのみ。写真はWH-RS710-C32-TL。重量は1,504g。価格は12万3,970円。
こちらがWH-RS710-C46-TL。重量は1,612g。価格はC32と同じく12万3,970円。
リムはデュラやアルテと同じく「D2リム」を採用。タイヤとのギャップを極力減らした設計で空気抵抗を抑え、横・斜めからの風に対する安定性も高めている。
WH-RS710のフロントハブ周辺。デュラ・アルテではストレートプルだったスポークがJベンドに。そのせいかハブまわりの見た目は若干チープになった印象。スポークパターンは左右クロスの24本で、エアロスポークが採用されている点もアルテグラと同様。
アルテはリヤのスポークパターンを変えていた(リヤは2:1組でローター側がラジアル)が、WH-RS710は前後ともにJベンド、左右クロスの24本で統一。フリーボディは12速にも対応する。

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