毎日通り過ぎるマンションの駐輪スペース、駅前の時間貸駐輪場、近所のサイクルショップの店頭、学生たちが乗り付けた自転車であふれる学習塾の前——。
日常の何気ない場所で見かけるスポーツバイクのダウンチューブに目をやると、「KhodaaBloom」「NESTO」といった文字をよく見かける。
この現象が気になり出したのは、自分がLa routeのスタッフになるかなり前のこと。
「クォダーブルーム?」「ネストオ?」
正しい読み方すら分からない。ただ僕がそれまで知っていた、いわゆる有名スポーツバイクブランド(ジャイアントとか、ジオスとか、ビアンキとか)とは違う、どこかの国の新興ブランドだと勝手に推察していた。
La routeに携わるようになり、自転車の知識が増えるのに合わせて、自然と「KhodaaBloom」と「NESTO」の読み方は分かった。でもLa routeが普段取り上げているメーカーといえば、スペシャライズド、キャノンデール、トレック、サーヴェロ、コルナゴ……といった世界的ビッグメーカーばかり。コーダーブルームやネストと仕事で邂逅することはなかった。
ある時、ロードレースのニュートラルサービスについて調べていると、国内ではそのコーダーブルームが、鮮やかなイエローに塗られたニュートラルバイクを提供していることを知る。
記憶の点たちが線になりそうな気がして、コーダーブルームについてあらためて調べてみる。
日本のホダカという会社のスポーツバイクブランドであること。「ネスト」も同社のブランドであること。元々は軽快車(ママチャリ)の製造・販売会社だったこと。そして、かつてはジャイアント・マニュファクチャリングの傘下だったこと。
ずっと外国の、それも中国あたりのブランドだと思い込んでいたので、まず日本のブランドであることに驚いた。それでいてあのリーズナブルな価格。街でコーダーブルームやネストのバイクをたくさん見かけるのも頷けた。