BOTY2023の結果

「試乗車を用意できるのがいつになるか分かりません」。
「すいません試乗車はまだ先になりそうです」。
「54サイズ1台なら用意できるんですが……」。

ものがないという昨今特有の事情によって、例年から2ケ月遅れの開催となった日本バイシクル・オブ・ザ・イヤー(以下BOTY)。「1年を代表するロードバイク」を決めるアワードである。第6回となる今年は、メーカーによるプレゼンテーションは省略。選考委員8名による10ベスト選考を経て、2023年1月26日、ヤビツ峠近くの秦野戸川公園に試乗車を集め、最終選考会が行われた。園内で撮影をした後、1日かけて周辺の一般路でノミネート車両10台をまとめて試乗、というスケジュールである。

BOTY2023選考委員の8名。写真左から、安井行生(La route編集長)、山口博久(バイシクルクラブ編集長)、管 洋介(自転車ジャーナリスト)、難波賢二(自転車ジャーナリスト)、橋本謙司(自転車ジャーナリスト)、田村明寛(フレイムディレクター)、浅野真則(自転車ジャーナリスト)、吉本 司(自転車ジャーナリスト)(敬称略)。

2023年のノミネートバイクは以下の10台。

キャノンデール・シナプスカーボン1RLE
キャニオン・アルティメットCFR
サーヴェロ・S5
サーヴェロ・ソロイスト
チャプター2・ココ
コルナゴ・C68
ラピエール・ゼリウスSL 8.0
トレック・マドンSLR
トレック・ドマーネSLR
ヨネックス・カーボネックスSLD

なお、本来であればここに入るべきジャイアント・プロペルは「試乗車のサイズを揃えることが難しく、正しく評価をしていただくことが難しい」として参加を辞退。また、ビアンキ・オルトレRCとスコット・フォイルは試乗車が間に合わず、参加を見送っている。

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